生活保護費引き下げ違法判決 受給者「実態もっと知って」

判決言い渡し後の報告集会で、喜びを語った原告ら=横浜市中区

 横浜地裁は19日、国による生活保護費の引き下げを違法と認める判決を言い渡した。提訴から7年余り闘い続けてきた原告らは判決を歓迎する一方、各地の同種裁判も見据え「生活保護は最後のセーフティネット。受給者の生活実態を知ってもらうにはまだこれからだ」と決意を新たにした。 
 「国は物価が下がったというが生活は全く良くなっていない。なぜ生活保護費を引き下げるのか。ずっと訴えてきたことが認められた」。原告の男性(54)=相模原市=は判決への喜びを語った。

 工場勤務だった28歳の時関節リウマチを発症。思うように働けず「会社に迷惑をかけてしまう」と33歳で自主退職し、翌年から生活保護を受給し始めた。39歳の時には脳梗塞で左半身まひとなり障害者手帳を取得した。

 引き下げ前の生活扶助費は8万4千円ほどだったが、現在は7万6千円ほど。障害者加算もあるが、病気の悪化により、自費でかかる医療費などに備え月3万ほどを貯蓄する。食費は月1万5千円ほどにしようと知人と共同で食材を購入するなど工夫するが、ここ最近の物価高が直撃し、出費を抑えるため外出を減らしている。猛暑の夏には電気代が月7500円と前年と比べ4千円ほど増えた。

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