業務用マッサージ機器「売り手」から「作り手」へ 日本メディック、10年で最大手に躍進

業務用マッサージチェア「あんま王」の特徴を紹介する日本メディックの城田社長=東京都内

 温浴施設には欠かせない業務用マッサージチェアの最大手メーカーが、県内にある。約10年前の経営危機を受けて「売る側」から「作る側」に転身し、シェアの急拡大に成功した日本メディック(藤沢市)だ。設置施設の裾野を広げながら、快走を続けている。

 東京・六本木の一角に構えた同社の営業所。周囲の喧噪(けんそう)をよそに、展示用のマッサージチェアが来訪者の全身をもみほぐして夢心地にいざなう。

 「リラックスして眠りに落ちてしまう方もいる」と城田充晴社長(35)。父の裕之会長(62)と二人三脚で、総勢50人強というグループの躍進を支えている。

 家庭用と業務用に大別されるマッサージチェア。主流は前者だが、日本メディックは競合他社と一線を画し、業務用のみを扱う異色のメーカーだ。実際に機器を置く施設側のニーズを丁寧にくみ取り、2012年に発売した「あんま王」がロングヒットを飛ばしている。

 最大の特徴は、摩擦によって破れがちな背中や頭部付近の布を着脱可能にした点にある。ファスナーやテープを多用し、現場のスタッフでも簡単に交換できる仕様を実現。修理の負担を大幅に軽減させた。

 頻繁な稼働に耐え得る性能も追求し、壊れにくさと使いやすさで支持を獲得。競合メーカーの製品に取って代わるようになり、先月には累計販売台数が1万5千台を突破した。城田社長は「業務用市場でのシェアは約6割に達した」と胸を張る。

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