“斜面の空き家リノベ” 子育て世代に賃貸、10年後贈与 明生興産がプロジェクト

空き家をリノベーションした明生興産の贈与型賃貸住宅第1弾「南町ヴィレッジ」=長崎市南町

 斜面地の空き家をリノベーションして子育て世代に賃貸し、10年後に贈与する「贈与型賃貸住宅」のプロジェクトを、長崎市大浦町の不動産業者、明生興産(尾上雅彦社長)が進めている。人口減少が進む坂の街に若い世代を呼び戻すアイデアとして注目される。
 プロジェクト第1弾は長崎市南町の空き家をリノベーションした「南町ヴィレッジ」。161段の階段を上った場所にある築53年の空き家を買い取り、畳をフローリングにするなどのリノベーションをした。月2万9千円の家賃で子育て世代に賃貸し、10年後に借り手が希望すれば土地建物をそのまま贈与する。30日に現地でお披露目会を開く予定。

リノベーションを終えた「南町ヴィレッジ」の内装

 同社は空き家を自社工事でリノベーションし、再販や賃貸する事業を展開している。過去5年で約40件の物件を手がけ、若い世代向けに住宅を供給する市の「住みよかプロジェクト」にも認定されている。
 尾上社長は贈与型賃貸住宅のアイデアについて「シングルマザーやシングルファーザーをはじめとする世帯にとって、子どもの大学進学資金が必要となる10年後、家賃負担がなくなる仕組みが作れないかと考えた」と話す。若い世代なら車の入らない斜面住宅地でも無理なく暮らすことができる上、同社にとっては賃貸住宅を大切に使ってもらえるメリットがあるとしている。


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