祖母と孫 そろって入選 長崎県展・書部門 佐世保の川野敦子さん、愛佳さん

目標だった「2人で入選」を果たした敦子さん(右)と愛佳さん=佐世保市内

 第67回長崎県展(県、県美術協会など主催、長崎新聞など後援)で、書部門に出品した佐世保市矢峰町の川野敦子さん(82)と孫の川野愛佳(まなか)さん(17)=西海学園高3年=がそろって入選した。互いに高め合ってきた2人は「一緒に入選できてうれしい」と喜んでいる。県展佐世保会場展は20日から島瀬美術センターで。
 2人は縦200センチ、横60センチの画仙紙に漢詩の一節をそれぞれ書いた。画仙紙にどう表すかは出品者の自由。文字の形や崩し方は、中国17世紀の書家、王鐸の作風を意識して力強い線のつながりを表現した。文字の大小や線の太細といった基本に加え、文字群や立体感などを意識したという。
 敦子さんは50代で本格的に書道を始め、長崎書道会などの師範資格を持つ。県展は25年連続で入選している。愛佳さんは幼稚園児のころから中学生まで敦子さんに習い、同校では書道部に所属。日展で入選の経歴がある相川瑛石顧問の指導で力を付け、県代表として出場した今年の全国高校総合文化祭では特別賞、昨年の県書展では会員推薦賞など数多くの賞を受けてきた。県展には初めて出品した。
 書く喜びと生みの苦しみを抱えながらの創作。文字を草書にしたり行書にしたり、試行錯誤しながら完成させた敦子さんは「(愛佳さんに)負けられないと例年より多く枚数を書いた」と笑う。初出品で入選した愛佳さんの成長を喜び「のみ込みが早く、作品が力強い」と実力を認める。一方の愛佳さんは敦子さんについて「筆の使い方が上手で強弱の表現がうまい」と互いに刺激を受け、学び合う。書道が、2人をつなぐコミュニケーションになっている。
 愛佳さんは大学で専門的に書道を学ぶ予定で「おばあちゃんみたいな先生になりたい」と抱負。敦子さんは「体力が続く限り、ずっと書道をしていきたい」と語った。


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