【幕末維新 山口れきし散歩】 No.33 「松茸狩りの処」

▲赤松林も今はなく(山口市大内長野・仁保下郷)

 「四卿方御供を以て遠乗旁(かたがた)、早朝より長尾(野)村へ茸狩(たけがり)に参候処、降雨に付宿にて御酒共被下(くだされ)候。帰途の節は、強風暴雨と相成、乗切にて暮頃御帰館。一行大濡、然れども頗る愉快を覚えたり」

 1864(元治元)年9月27日、三条実美(さんじょうさねとみ)の従士(じゅうし)・土方久元(ひじかたひさもと)は、三条ら4人の公家のお供で、早朝より長野村に松茸狩りに出かけた。途中から雨が降り出したため、仁保下郷村丸山の民家に移動、松茸料理を食した。その料理とは、中身をくり抜いて作った柚子釜の中に味噌とちぎった松茸を入れ、火で炙ったものであったといわれている。

 帰路は暴風雨のためずぶ濡れになったが、大変愉快な一日となったようだ。

防長史談会山口支部長 松前 了嗣

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