11月11日より劇場公開される、直木賞作家・井上荒野が父である作家・井上光晴と母、そして瀬戸内寂聴をモデルに男女3人の特別な関係を描いた同名小説の映画化作「あちらにいる鬼」から、道ならぬ恋に落ちる作家の長内みはる（寺島しのぶ）と白木篤郎（豊川悦司）、そしてその妻の笙子（広末涼子）の三者が、初めて顔を合わせるシーンの本編映像が公開された。
白木のミステリアスな魅力に惹かれたみはるは、次の小説の参考にしたいという口実で、白木の住む団地を訪れる。映像では、そこへ白木の妻の笙子が現れる場面が切り取られている。白木に紹介され、小走りで笙子に近付きお辞儀をするみはるに対し、笙子は「白木の妻です」と戸惑った笑顔のままあいさつをする。うつむく笙子を白木は自転車の後ろに乗せ、「じゃあ頑張って」と告げ、みはるを置いて走り去っていく。その後ろ姿を見つめるみはるは、嫉妬や羨望とは異なる、空虚感をかもした切ない表情を見せる。
このシーンについてみはる役を演じた寺島しのぶは、「バス停で初めて会った場面は、私がはいしゃいでいたところですよね。篤郎に団地ツアーをしてもらっていたら、奥さんがぱっと現れて、私をポンと置き去りにして、ふたり乗りの自転車で去っていく。『ああ、これが現実なんだ』ってすごく思いました」と回想している。また、笙子役の広末は、「みはるさんの方が素直で正直。自分の方が年下なのに、みはるさんを見た時に恋をしてキラキラした少女で、一瞬で負けた！と思いました」と語り、みはると笙子の感情そのままに互いを強く意識していたことを明かしている。
「あちらにいる鬼」は、昨年11月に満99歳でこの世を去った作家・僧侶の瀬戸内寂聴と、同業者で妻子ある井上光晴とのかつての恋、井上光晴の妻との関係をモデルとした作品。主人公の長内みはるを寺島しのぶ、井上光晴をモデルとした白木篤郎を豊川悦司、白木の妻・笙子を広末涼子が演じる。ほかに、高良健吾、村上淳、蓮佛美沙子、佐野岳、宇野洋平、丘みつ子らが顔をそろえる。廣木隆一が監督を務め、荒井晴彦が脚本を担当している。
【作品情報】
あちらにいる鬼
2022年11月11日(金) 全国ロードショー
配給：ハピネットファントム・スタジオ
©2022「あちらにいる鬼」製作委員会
