五輪塔42基を整備安置 古くからあるもの守り続け 「浜の善光寺」で開眼式 上越市五智2

 上越市五智2の十念寺(通称「浜の善光寺」)で20日、敷地内で新たに整備された五輪塔の開眼式が営まれた。別々の場所にあった五輪塔42基と観音菩薩像が並び、新たに魂が込められた。

20日に行われた開眼式。整備された五輪塔と観音菩薩像に、新たに魂を込めた

 同寺は平安時代末期からこの地にある寺院。1557年、上杉謙信が信濃善光寺をこの地に移すに及び、総本山直属の末寺として現在に至る。敷地内や周辺からは鎌倉時代からの五輪塔が複数発見され、いくつかは上越市指定文化財「十念寺鎌倉墓塔群」に登録されるなど、長い歴史と文化を今に伝えている。
 杉山心薫住職(60)によると、今回整備されたのは敷地内西側と、本堂裏手にあった五輪塔。特に西側は竹やぶのようになり、倒れた塔もあったという。令和2年3月から竹を伐採し、2年ほどかけて整地。地面をコンクリートで固め、背面にあった垣根をフェンスに交換。本堂裏の五輪塔と観音菩薩像も移し、今月、工事を完了した。
 崩れたものや五輪塔として組み立てられないものは、魂を抜く撥遣式(はっけんしき)を行い、丁寧に処分したという。杉山住職は「きれいに安置し直すことができ、何より。古くからあるが守る人がいない墓なので、われわれが守っていきたい」と話した。

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