<3年越しの「舞」・YOSAKOIさせぼ祭り> Team“DAIDEN!”

松田さん(手前)の指導を受けて練習する「Team“DAIDEN!”」のメンバーら=佐世保市

 YOSAKOIさせぼ祭りの本番まで1週間に迫った16日夜。長崎県佐世保市下京町の多目的スペース「くっけん広場」に、幼児から大人まで約30人が集まった。彼らは総勢100人の「Team“DAIDEN!”」のメンバー。実行委の担当者が言った。「間違えてもいい。楽しく踊りましょう!」。その言葉に、参加者たちの顔に安堵(あんど)の表情が浮かんだ。
 実行委は今回から、100人以上の大人数で編成するチームが演舞し競う「100人部門」を創設。させぼ祭りには人数が少ないチームの参加が多いが、よさこいの本場・高知では100~150人で踊る。コロナ禍に翻弄(ほんろう)されてきたが、「ピンチをチャンスに」と新たな企画を打ち出した。
 同部門では、よさこい初心者でも参加できるよう実行委がTeam“DAIDEN!”を編成した。楽曲は実行委が2019年に作った公式総踊り曲「DAIDEN!~大伝海伝(だいでんかいでん)~」。見よう見まねでも踊れる振り付けが特徴で、16日を含め2度練習会を開いた。振り付け動画を見て練習することができ、練習会に出ていなくても参加できるほど「間口を広く」(実行委)している。
 7歳の長男と一緒に参加する同市の主婦、堂本さやかさん(35)は、学生のとき以来の踊り子復帰だ。よさこいといえば何カ月も前から練習するのが当たり前。張り詰めた緊張感もあり「出たいけど、勇気がなかった」という。わが子との思い出を作りたかったという堂本さんにとって「練習のオープンさ」は魅力だ。「学生時代は自分だけの趣味だった。息子も楽しそうに踊っていて、親子で楽しめる共通の趣味を見つけられた」
 コロナ禍で「よさこい離れ」が進み、人数が減ったチームも少なくないという。DAIDEN!の振付師、松田ゆかりさん(54)=佐世保市=は、Team“DAIDEN!”が「よさこいを盛り上げるきっかけになってほしい」と期待、「来年はどこかのチームに入るなど、次につながってほしい。よさこいで街を活気づけたい」と意気込む。
 させぼ祭りが始まり20年あまり。伝統と革新をハイブリッドさせた新生YOSAKOIの幕がきょう、上がる。


© 株式会社長崎新聞社