市川森一脚本賞財団 来年1月末で解散 コロナ禍、理事高齢化を理由に

 若手脚本家の登竜門として知られる市川森一脚本賞を運営する同賞財団(遠藤利男理事長、東京)は20日、来年1月末で財団を解散すると発表した。来年の同賞の選考は行わず、今年3月発表の第10回で終了した。
 同賞は長崎県諫早市出身の作家・脚本家、故市川森一さんの業績をたたえ、テレビドラマの脚本家育成などを目的に2012年に創設。テレビドラマのファンや制作者、関連企業・団体などの寄付金で運営してきた。
 同財団は、解散の理由について▽コロナ禍による長引く経済不況に加え、メディアの環境も大きく変わり、オリジナル脚本の選奨が難しくなった▽運営に当たる理事が高齢化に伴い積極的な活動ができなくなった-などと説明。「皆さまにご迷惑をかけないうちに解散すべきと決断した」としている。
 同賞は第1回の大島里美さん「恋するハエ女」(NHK)、第5回の黒岩勉さん「僕のヤバイ妻」(関西テレビ)、第10回の加藤拓也さん「きれいのくに」(NHK)などが受賞し、現在、第一線で活躍する数多くの脚本家を輩出した。
 同財団による作品上映とシンポジウム「テレビドラマの巨人たち~人間を描き続けた脚本家」の第6回「市川森一が愛した『ふるさと・長崎 夢物語』」は12月17、18両日、長崎市立山1丁目の長崎歴史文化博物館で開催される。同財団は「活動10年のお礼と報告を兼ねて開きたい」としている。

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