ティラノサウルス科の大型恐竜が長崎にいた…歯の化石を発見 全長10m以上と推定、福井県立恐竜博物館と長崎市発表

ティラノサウルス科の恐竜のイメージ図(長崎市恐竜博物館提供、月本佳代美さん作画)
長崎市で新たに発見されたティラノサウルス科の歯化石(右)。左の2点は2014年度に見つかった同科の歯化石の複製(長崎市恐竜博物館、福井県立恐竜博物館提供)

 福井県立恐竜博物館(勝山市)と長崎市は10月21日、同市の約8千万年前(白亜紀後期)の地層から、肉食恐竜ティラノサウルス科の歯化石1点を発見したと発表した。全長10メートル以上の大型種と推定される。同市での歯化石の発見は2例目で、同博物館は「大型種が長崎に確実にいたことを示す追加資料となった」としている。

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 恐竜博物館と長崎市の共同調査で、2019年4月に長崎半島西海岸の三ツ瀬層で発掘した。高さは85ミリあり、最も太い根元の幅が33ミリ、厚みが18ミリ。断面がふくらみのある楕円(だえん)形をしているなどの特徴からティラノサウルス科と結論付けた。すり減り方などから右下あごの歯とみられる。

 ティラノサウルス科は、白亜紀後期の約8300万年前~約6600万年前に生息した獣脚類の進歩的なグループ。大型種は北米のティラノサウルスが知られている。

 長崎市では断片的なものを除き、大型種の歯化石が14年度に2点発見されており、今回の化石もほぼ同じ場所で発見された。いずれも種の特定には至っていないが、恐竜博物館の宮田和周総括研究員は、特定に必要な骨化石などの発見に向け「十分可能性がある。さらなる追加資料を期待したい」とした。今回と14年度に発見された歯化石の計3点の複製は29日から、恐竜博物館で常設展示する。

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 同科の歯化石は国内ではほかに熊本県天草市でも1例確認されている。また、三ツ瀬層の年代は約8100万年前とされてきたが、最新の研究で100万年、時代が下がることが分かった。

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