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ニホンジカなどによる農作物への被害が年々深刻化する福井県南越前町は今春、捕獲の専門職員を県内で初めて採用した。採用されたのは坪田愛子さん(45)。半年で既に約140頭のニホンジカを捕獲・駆除した。シカだけでなくサルなどについても目撃情報や注意点などを、交流サイト(SNS)で住民に注意喚起している。
町によると、町内のニホンジカやイノシシなど有害鳥獣による農業被害は2017~21年度の5年間で、被害面積が20.9ヘクタールから32.22ヘクタールへ約1.5倍に、被害額は753万2千円から1415万9千円に約1.9倍になった。中でもニホンジカによる被害は深刻で、昨年度の捕獲頭数は19年度に比べ倍増の737頭だった。
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町では、銃器など各種免許を持ち県猟友会の推薦を受けた約30人が捕獲に当たっている。しかし仕事の傍らで行う人が多く、1人当たりの捕獲頭数は伸び悩んでいる。このため今年4月、捕獲専門の会計年度任用職員1人を採用した。
敦賀市で会社勤めをしていた坪田さんは元々、ジビエ料理やアウトドアが好きで、19年秋に装薬銃や空気銃を扱う第1種銃猟免許を取得した。猟師の高齢化や、担い手不足で獣害対策に困っている同町の現状を知り、役に立ちたいと転職を決め、同町に移住した。
坪田さんは主にニホンジカをわなで捕らえ、電気やりでとどめを刺す手法を使っている。ニホンジカ捕獲数は9月末には138頭に達した。
頻出するサルの群れの警戒、退治にも当たる。軽トラックで町内を回り、住民から目撃情報などを聞き取っている。8月からは「鳥獣害対策員のあいこさん」と銘打ち、フェイスブックなどのSNSでニホンジカへの注意喚起や、サルの群れを確認した位置、時間帯などを発信している。
坪田さんは「獣害は人が生活する身近な場所にまで及んでいる。1頭でも多く捕獲してほしいという農家の気持ちに応えたい」という。若い人に狩猟に興味を持ってもらえるような「仕掛けづくりにも挑戦したい」と意気込んでいる。