岡山の戦国期 “高原の道”が存在 榎原教授 軍記物3冊改訂記念講演

榎原教授(壇上中央)らが岡山の戦国時代をひもといた記念講演会

 岡山の戦国期を記した「備前軍記」など3冊の現代語訳シリーズ改訂版の出版記念講演会「岡山の戦国時代を語る~武士が駆け抜けた時代」が23日、山陽新聞社さん太ホール(岡山市北区柳町)で開かれた。基調講演した榎原雅治東京大史料編纂(へんさん)所教授(同市出身)は、岡山での覇権争いの舞台となった“高原の道”の存在を提唱した。

 榎原教授は、室町幕府が有力大名をけん制するため、地方の武士を将軍直属にしたと紹介。岡山では備前の松田氏、美作の三浦氏らが務め、その往来により「京都と吉備高原を結ぶ重要な道が生まれた」と指摘した。

 現在の赤磐、御津、高梁、新見などを通るルートで、沿線の金川城、備中松山城などで大きな戦いが起きた。「交通路の掌握のため毛利、宇喜多氏らが在地の武士を巻き込み、何度も攻防を繰り広げた」と話した。

 その後、改訂版を監修した県教委の内池英樹参事、真庭市教委の森俊弘参事が加わって鼎談(ていだん)。「高原の道をたどると、岡山の争乱の新たな道筋が見えてくる」などと話し、約250人が聴いた。

 3冊は江戸時代につづられた軍記物語で、1980年代に現代語訳が初版された。最新の研究成果を加えて改訂した「現代語訳 備前軍記」は26日発売される。「備中兵乱記」は11月、「美作太平記」は来年の出版予定。

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