栃木県の認知症相談医、5年で倍増 登録183人、伸びは鈍化

とちぎオレンジドクターの登録者の推移

 高齢者やその家族が認知症について気軽に医師に相談できるよう、県が2017年に始めた「もの忘れ・認知症相談医(とちぎオレンジドクター)」制度の登録医が、今年4月1日時点で183人となったことが24日までに、県のまとめで分かった。制度開始から5年で2倍以上に増えた。高齢化に伴い今後も認知症患者の増加が見込まれる中、県は登録医をさらに増やすとともに、制度の周知も進める方針だ。

 認知症は初期段階で発見し適切な治療を受ければ、進行を遅らせることが可能な場合がある。だが「どこに相談すればいいのか分からない」「相談をためらう」といった声が聞かれることから同制度が導入された。

 オレンジドクターは、国の認知症サポート医養成研修を受けた医師が登録する。患者や家族の相談を受けて診察するほか、かかりつけ医に助言したり、県内に10カ所ある認知症疾患医療センターにつないだりする。

 制度開始時の登録医は84人で、当初は毎年約30人ずつ増えていた。一方、20年以降は新型コロナウイルスの影響で登録に必要な研修が縮小するなどし、増加のペースが鈍化。20年度は1人、21年度は12人しか増えなかった。

 県高齢対策課は、今後も医療機関にチラシを配布するなどして「積極的に登録を呼びかけていきたい」としている。

 オレンジドクターは県のホームページに掲載され、在籍する医療機関などには専用の認定プレートが掲示される。現在、内科、整形外科、眼科などの医師が登録している。

 同課によると、県内の認知症高齢者は20年に9万6千~10万人、25年には10万9千~11万8千人に上ると推計されている。

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