クラスター対策、施設職員を集中検査へ 栃木県と宇都宮市

栃木県庁

 高齢者施設や障害者施設での新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)対策の一環として、県と宇都宮市は今月下旬にも集中的検査を始める。県内全施設に抗原定性検査キットを配り、職員に週3回検査してもらう。国の方針に基づく取り組みで、期間は1カ月間を予定。幼稚園や保育園、医療機関にも希望に応じてキットを配布する。

 施設利用者は重症化リスクが高いため、職員に頻繁に検査してもらい感染拡大の芽を早期に摘み取るのが狙い。事業は国から検査キットが配分され次第、速やかに始める。

 県と同市によると、キットを配布する高齢者施設は約2500カ所。入所、通所施設に加え、外部との接触機会が多い訪問施設も対象とする。障害者施設は約1800カ所あるという。

 抗原定性検査はPCR検査や抗原定量検査に比べ精度が劣るとされる半面、手軽に検査でき約15分後に判定結果が出る利点がある。

 施設での感染防止策として県は8~9月、高齢者・障害者施設の職員に週1回の抗原定量検査を受けてもらう事業を始めた。委託機関が全職員分のキットを配布し、唾液検体を回収して検査結果を後日伝える仕組みで、県は多くの施設での利用を見込んだが、実際に申し込んだ施設は全体の4割程度にとどまった。

 利用が低調だった理由について県は、検査結果が出るまでに時間がかかることや、お盆明け以降に感染が鈍化したことなどが影響したとみている。

 9月以降も県内の高齢者施設では28件、障害者施設では6件のクラスターが発生している。県感染症対策課は「第7波を確実に収束させたい。クラスター発生や利用者の重症化を防ぐため集中的検査に協力してほしい」としている。

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