栃木市美術館11月開館 初企画展、喜多川歌麿の複製画など公開へ

11月に開館する市美術館

 【栃木】市が整備を進めてきた入舟町の市美術館が11月、開館する。1日の開館式、2日の関係者内覧会を経て3日に一般入館がスタート。初めてとなる企画展は、市ゆかりの浮世絵師喜多川歌麿(きたがわうたまろ)の作品の複製画や、栃木高出身の現代美術家タムラサトルさんと市民が共同で制作した映像作品などを公開する。観覧無料で、来年3月5日まで。

 市は歌麿や日本画家田中一村(たなかいっそん)、版画家・彫刻家鈴木賢二(すずきけんじ)ら本県を代表する芸術家と深い関わりがある。同館は、そうした作家の絵画626点、陶磁器1816点、竹工芸作品44点を収蔵する。

 建物建設は国の地方都市リノベーション事業に選ばれ、市が2017年に基本計画を策定。総事業費は約23億円で、昨春完成した。鉄筋コンクリート2階建て、延べ床面積は約2375平方メートル。三つの展示室と多目的室を備える。

 企画展が始まる3日は、午前9時半から大川秀子(おおかわひでこ)市長らが来館者を出迎え、地元中学生の吹奏楽演奏などが行われる。

 公開するタムラさんと市民による映像作品「1トンになる」は、市内6地域(栃木、大平、藤岡、都賀、西方、岩舟)の住民が出演し、重量計に乗って重さ1トンを目指すユニークな内容となっている。

 歌麿の作品は、肉筆画「深川の雪」「品川の月」「吉原の花」(通称・雪月花)の高精細複製画。市民がワークショップで制作した藍染めも展示する。

 来年4月には開館記念展として、田中や鈴木らの作品を展示する予定。杉村浩哉(すぎむらひろや)館長は「市ゆかりの美術作家を多くの人に知ってもらえるような場所にしたい」と話している。

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