長崎県の「読書バリアフリー推進計画」 支援サービス周知へ 市町立図書館と連携強化

県視覚障害者情報センターで貸し出している拡大図書と点字図書

 障害の有無にかかわらず、誰もが読書を楽しみ、学べる環境を整備するため、長崎県は「読書バリアフリー推進計画」の策定を進めている。県施設の視覚障害者ら向け支援サービスを周知する一方、各市町立図書館でも同様のサービスを提供できるよう施設間の連携を強化していく方針。同計画に対するパブリックコメントを11月25日まで募集している。

 同計画の支援対象は、視覚障害者だけでなく、発達障害や知的障害で文字を読むのが苦手だったり、肢体不自由や高齢などで文字が見えにくくなったりした人。県視覚障害者情報センター(長崎市)や県立長崎図書館(ミライon図書館、大村市)には、こうした人々向けのサービスがある。
 同センターは2021年度末時点の蔵書数がCD録音図書約5千冊、点字図書約2万冊など。このほか、拡大図書や電子図書を自宅でダウンロードできる全国視覚障害者情報提供施設協会のインターネット図書館「サピエ図書館」のサービスも活用できる。
 障害者手帳を持つ約750人が利用登録し、21年度は計約6万2千件の貸し出しがあった。ただ、市町立図書館を通じた利用申請は少ない。同計画の策定で「横のつながりの強化」を図り、特別支援学校などとの連携も見据える。同センターの松野雅子所長は「福祉と教育の接点が増えることが大きい」と意義を強調し、「必要とされる人の役に立てるよう関係機関と協力していきたい」と話す。
 国は19年6月施行の読書バリアフリー法に基づき、20年7月に基本計画を策定した。それを受け、ミライonは20年10月から、読書が困難な人向けの「視覚障害者等サービス」を開始。サピエ図書館の利用や音声図書のデータをダウンロードしたCDの貸し出しなどをしている。視覚障害者以外の利用も想定するが、「周知不足」でまだ少ないという。
 現在、県内の公立図書館でサピエ図書館を利用できる「登録館」はミライonのみ。担当者は「市町立図書館利用者もミライonを通じ個人会員登録してもらえば、サピエ図書館を利用できる。県の計画策定を機にサービスの存在を知ってもらいたい」としている。
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 国の基本計画は各都道府県に対し、計画策定を努力義務としている。「県読書バリアフリー推進計画案」は県ホームページや県教委生涯学習課などで閲覧可能。パブコメは電子メールや郵送、ファクスで受け付ける。問い合わせは同課(電095.894.3363)。


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