東北電力が燃料価格高騰など影響受け大幅な増収減益、電気料金値上げへ

電力ビル新潟(新潟市中央区)

東北電力株式会社(宮城県仙台市)は29日、2023年3月期第2四半期決算(連結)を発表した。売上高は1兆3,397億1,500万円(前年同期増減率53.4%増)、営業利益は△1,262億7,000万円(前年同期は490億5,000万円)、経常利益は△1,319億1,300万円(同399億4,400万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は△1,363億5,900万円(同342億300万円)。

当第2四半期の連結経営成績は、東北電力において、販売電力量(小売)が競争進展に伴う契約の切り替えなどにより減少したものの、販売電力量(卸売)がエリア内への卸売が増加したことなどから、販売電力量(全体)は、393億kWh(前年同期比0.4%増)となった。

売上高は、燃料費調整額の増加による影響で増収となったが、経常利益は、燃料価格の高騰や、円安の進行、卸電力取引市場の価格上昇による、電力調達コストの増加が影響し減益となった。

なお東北電力では、燃料価格や卸電力取引市場の価格が高騰していることなどから、「このままでは安定的な燃料調達や、電力設備の更新・修繕などへの投資を十分に行うことができず、電力の安定供給に影響を及ぼしかねない非常に厳しい状況にある」と判断し、自由化部門の顧客の電気料金について、2022年11月以降、「高圧以上の電気料金単価見直し」および「低圧自由料金プランの燃料費調整制度における上限設定の廃止」を行う。

また、規制部門の顧客の電気料金については、その性質に鑑み可能な限り現行の水準を維持するよう努めいたものの、6月以降は平均燃料価格が燃料費調整制度の上限を超過する水準で推移、拡大しており、現状はこの超過分を東北電力が負担する「逆ザヤ」の状態がつづいている。このため、自由化部門および規制部門ごとの部門別収支において、2021年度までは黒字であった規制部門についても、当年度の最終損益が550億円程度の赤字となる非常に厳しい見通しであるという。

こうした状況を踏まえ東北電力では今般、小売規制料金についても値上げをせざるを得ないと判断し、国への認可申請に向けた準備を進めることを決定した。値上げ時期や値上げ幅など、具体的な内容についてはこれから検討していくというが「足元の財務状況を考慮すると、2023年度早々には値上げを実施したいと考えている」という。

なお、規制料金の値上げにあたっては、電気料金の単価や燃料費調整額の算定諸元について、現在の電力需給構造などを踏まえて全面的に見直す必要があるため、その内容と平仄を合わせる形で、自由化部門の顧客の電気料金にも影響が生じる可能性がある。

© にいがた経済新聞