「餃子の王将」社長射殺事件 殺人容疑で逮捕の田中幸雄容疑者は黙秘

田中容疑者の逮捕を受けて会見する京都府警の中野刑事部長(左から2人目)と捜査幹部ら=28日午後11時、京都市上京区・府警本部

 「餃子の王将」を展開する王将フードサービス(京都市山科区)の社長だった大東隆行さん=当時(72)=が2013年に射殺された事件で、京都府警・福岡県警合同捜査本部(山科署)は28日、殺人と銃刀法違反の疑いで、特定危険指定暴力団工藤会系石田組幹部の田中幸雄容疑者(56)=銃刀法違反などの罪で服役中=を逮捕したと発表した。捜査関係者によると、逮捕直後の田中容疑者は事件について黙秘しているという。

 合同捜査本部はこの日設置した。大東さんと田中容疑者の接点は明らかになっていないとみられるが、府警は田中容疑者に共犯者や指示役がいる組織的犯行とみて、家宅捜索や関係者への事情聴取などを行い、工藤会系暴力団と王将とのつながりなど背後関係の解明を進める。

 府警は28日午後2時14分、田中容疑者が服役する福岡刑務所(福岡県宇美町)で逮捕状を執行した。計5台の車両で山科署まで移送しており、29日明け方に到着する見通し。

 府警は、殺害現場付近に落ちていたたばこの吸い殻に付着したDNA型が田中容疑者のものと一致したことや、現場からの逃走に使われた小型オートバイのハンドルから検出した硝煙反応、犯人の事件直前の足取りなどから、実行役として田中容疑者を特定。さらに、吸い殻の形状などを科学的に検証し、別の場所から持ち込まれた可能性をほぼ排除し、逮捕に踏み切ったとみられる。

 捜査関係者によると、逮捕容疑は、氏名不詳の人物と共謀し、13年12月19日午前5時45分ごろ、京都市山科区西野山射庭ノ上町の王将フードサービス本社前の駐車場で、自動装塡(そうてん)式拳銃を4発発射して大東さんの胸や腹などに命中させ、多臓器損傷で失血により殺害した疑い。

 田中容疑者は08年に大手建設会社の車に拳銃4発を発射したなどとして、銃刀法違反などの罪で19年11月に懲役10年の判決を受け、福岡刑務所に収監されていた。

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