九州高校野球 長崎日大が決勝へ 大分商に4-1 2年連続センバツ確実に

【準決勝、大分商-長崎日大】7回表大分商無死、セーフティーバントを冷静に処理した長崎日大の捕手豊田(左)。右は8回1失点の西尾=コザしんきんスタジアム

 第151回九州地区高校野球大会第4日は28日、沖縄県沖縄市のコザしんきんスタジアムで準決勝2試合が行われ、長崎県勢は長崎日大が大分商に4-1で快勝して決勝へ進み、2年連続の選抜大会(甲子園)出場を確実にした。海星は沖縄尚学に6-7の逆転サヨナラで惜敗したものの、7年ぶりの春切符獲得は濃厚。県勢初の選抜2校出場に大きく近づいた。
 長崎日大が秋季の九州大会で決勝に進むのは1992年以来30年ぶりで、県勢としては2020年に優勝した大崎以来。
 長崎日大は二回、栗山の中前打の後、犠打に敵失が絡んで1死一、二塁とすると、下坂の中前適時打で先制。三回に加藤のスクイズ(記録は安打)で1点、四回は平尾の右中間三塁打から、坂本の左中間適時二塁打と平岩の中犠飛で2点を加えた。投げては西尾が8回を散発6安打、1四球で1失点と好投。九回は内藤が締めくくった。
 海星は初回に3点を先行されたが、三回に田中の右前適時打、四回に田川の中前適時打で追い上げた。2-4と再び点差を広げられた後の五回に田中の左越えソロで1点差に迫ると、六回に池田、松尾、峯、平尾の4安打で3点を奪って逆転に成功。ただ、七回に1点を返され、九回2死満塁から右翼線へサヨナラ2点打を浴びた。
 最終日は29日正午から同スタジアムで長崎日大-沖縄尚学の決勝を実施。優勝校は明治神宮大会(11月18~23日・神宮)の出場権を得る。

◎3番・捕手 豊田 攻守でチームけん引

 2年連続選抜出場を決定づけた長崎日大は3番・捕手の豊田が攻守の柱として存在感を発揮している。27日の練習中にボールが顔面に直撃し、病院へ運ばれたが戦列に復帰。「痛い」と右目の周りに青あざを残しながらも、抜群のフットワークと配球で後輩右腕の好投を支え、打っても3試合で5安打2打点3四球と気を吐いている。
 県勢最多の甲子園出場を誇った平成時代にプレーしたOBの平山監督と山内部長もともに捕手出身。指揮官は「キャッチャーが良くないと勝っていけない」と強調し、豊田も「自分が一番成長できる」と自負する。
 中でも二塁送球タイムは高校生トップレベルの1.8秒台を記録。この日は四回無死一塁でワンバウンド投球を弾いた場面と、六回2死一塁から二塁を狙われたが、いずれも冷静に阻んだ。平山監督が「よく相手を見る」と評するように、二回は飛び出した一走をけん制で刺し、七回はセーフティーバントにすぐさま反応して楽々と処理した。
 そんな扇の要に、8回自責点ゼロの1年生西尾も「とても助かる存在」と全幅の信頼を置く。左打者を中心にフォークをよく決めたほか、相手があまり振れていないと感じ取れば「安易にインサイドを使わなかった」。準々決勝は同級生の右腕廣田を緩急自在に無四球で好リードするなど「それぞれの長所を最大限引き出すのが役目」と力強い。
 次は秋としては初、春を含めても25年ぶりの優勝を懸けた大一番。「目立った反省がまだある。気を抜くことなく、泥くさく勝って神宮へ行きたい」と慢心もなかった。


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