『乳幼児のコロナワクチン接種』 長崎県内一部で11月開始 打ち手確保、困難な市町も

県内市町乳幼児用コロナワクチン準備状況

 生後6カ月~4歳の乳幼児を対象にした新型コロナウイルスワクチンの接種が24日から可能になった。長崎県内では諫早市や西彼長与町などが11月上旬から接種を始める予定。一方で小児科医が少ない地域では打ち手の確保が困難なケースもあり、半数近くの市町が開始時期について「具体的には未定」と答えた。
 県内全21市町の担当者に25~27日に聞き取った。最も早く始まる諫早市は医療機関による個別接種を予定。準備が整った機関から11月4日以降、順次始める。長与町は5日に集団接種、8日以降に順次、個別接種を始める予定。担当者は「小児科医の負担を少しでも減らせるように集団接種も準備している」と話す。
 長崎市も集団と個別を実施予定。担当者は「かかりつけ医で受けさせたい保護者が多いと思うが、平日は難しいという家庭もある」と集団も計画中だ。
 一方、9市町は開始時期が「未定」。多くは「11月中に始められるように準備を進めている」と話すが、「管内に小児科のクリニックはなく、打ち手の確保が難しい」という市町も複数あった。東彼東彼杵町の担当者は「住民の多くは大村市のクリニックがかかりつけ医。大村市の対応が決まるのを待ちたい」。別の自治体の担当者は「乳幼児はただでさえ、別のワクチンの接種予定がびっしり。調整が難しい」。
 接種券は17市町が対象者全員に配布方針。長崎市の担当者は「乳幼児接種が可能になったことを知らない人もいるかも。案内の意味合いもある」。さらに同封する資料には「努力義務」という言葉を使わないようにしている。「悩ましい保護者は多いはず。圧力にならないように注意したい」
 3市町は希望者に配布予定。長与町は10月中旬に対象者全員に案内を郵送。希望する保護者から既に約40件の申請があったという。
 オミクロン株に対応した2価ワクチンが承認され、3回目以降の接種間隔が3カ月に短縮されたばかり。ある自治体の担当者は「国の方針が変わるたびに現場は振り回される。乳幼児への対応までなかなか手が回らないのが実情」と疲れた様子。また別の担当者は「準備はするが、そもそもどのくらい希望があるのか」と話す。5~11歳の接種は開始から1年以上たっているが、県によると10月21日時点で2回目の接種率は21.1%にとどまっている。


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