日本代表は11月1日、他国に先駆けてワールドカップ・カタール大会のメンバーを発表する。
長引くコロナ禍ということもあり、今大会は登録メンバーが従来の23名から26名に拡大されている。これにより様々な思惑を持った3選手を選ぶことも可能となった。
報道では「今回のサプライズはない」と伝えられるが、それではあまりにも夢がない!ということで「26番目に選んでほしい選手たち」を選んでみた。
松木 玖生
理由:若い
日本サッカー界は技術至上主義に陥りがちであるが、世界のサッカーは血に飢えた漢たちがぶつかりあうピッチ上の格闘技である。
青森山田で全国制覇を成し遂げたこの“スーパー高校生”は10代とは思えないフィジカルを持ち、勝利に対して恐るべき執着心を持つ。
ビッグマウスは、あえて口にすることで自身を追い込む本田圭佑を意識してのもの。FC東京のアルベル監督も「欧州で戦う強いメンタリティーを備えている」と絶賛する。
政治の世界では、未来の君主に帝王学を学ばせる。将来の日本代表を担うべき若手にこの大舞台の空気を吸わせることも大事であろう。
槙野 智章
理由:明るい
性格が明るい。それは何にも代えがたい才能である。
サッカーは団体スポーツであり、集中開催のワールドカップは血気盛んな漢たちの集団生活でもある。試合時間の90分は僅かなもので、大半はそれ以外の時間に費やされる。
そんな中でただ明るいというその能力は、緊張感で圧し潰されそうな選手たちの重圧を解きほぐしてくれるであろう。
槙野でもいい。森脇良太でもいい。若く真面目な選手たちの肩の力を抜いてくれる選手を入れるべきである。
中村 俊輔
理由:左足
26人に枠が広がったことで一芸に秀でた必殺仕事人にもチャンスが巡ってくるのかもしれない。
言わずとしれた日本のファンタジスタ、中村俊輔。彼の左足から放たれるキックはこれまでに多くの伝説を生み出してきた。
今年44歳となり、先日、今シーズン限りでの現役引退を発表した。だがしかし!その左足に限れば今なお彼を超える選手は見当たらない。
セットプレーからの得点不足が叫ばれて久しい今の日本代表に俺たちの俊輔が必要だ。
満田 誠
理由:一発がある
今季のJリーグで最も輝いている新人はこの満田であろう。
彼の両足から放たれるキャノン砲は、ワールドカップという大舞台で求められる「相手や展開に関係なくゴールを生み出せる」特筆すべき能力である。
E-1サッカー選手権で日本代表に初招集。同大会にはサンフレッチェ広島から5選手を選ばれたため森保監督が古巣を贔屓しているとも揶揄されたが、その起用方法は贔屓どころか理解に苦しむものだった。
満田は自由を与えてこそ躍動するタイプであり、右サイドに張り付ける使い方では持ち味は半減する。そんな使い方で評価を下げたのではあまりにも報われない。
中島 大嘉
理由:デカい
自称地球製中島大嘉は定着していないものの、ファンから“和製ハーランド”と呼ばれているのは札幌の大器・中島大嘉だ。
188cmというサイズに加えてスピードもあり、空中戦の強さは現時点でも日本人の中では最上位。滞空時間の長いジャンプから繰り出されるヘッドの威力は凄まじい。
札幌ではペトロヴィッチ監督の信用を勝ち取っておらず、経験不足は明らか。苦手ではないものの足元でのゴールもほぼ期待できない。
それでもスピード型が並び、高さのないチームに彼の怪物級の高さはリーサルウェポンとなる。イチかバチかの賭けにどうだろうか。
本田 圭佑
理由:持ってるから
カンボジア代表を指揮しているものの、この2年間ほぼサッカー選手としての活動をしていない本田圭佑。
最近の発信をみると張本勲氏ばりのご意見番、もしくは新進気鋭の起業家といった様相である。
しかし、そうであったとしても、強かった日本代表に常に彼の名前があったという事実は揺るがない。この男の強いリーダーシップは紛れもなく日本サッカー界を変えてきた。
彼には何かを変える力がある。そこで彼を選手の中での監督に位置付け、森保一&本田圭佑という二頭体制による日本代表にしてみてはどうだろうか。
中村 敬斗
理由:あまりにも絶好調
ワールドカップは短期決戦。どんなに絶対的な主力であっても、調子が悪ければそれを取り戻す頃には大会は終わっているものである。
中村は今、まさに絶好調である。対人のドリブル技術は変幻自在。町クラブのユース時代に組織そっちのけで磨かれた個人技は卓越したものがある。
また10代にしてPSV、アヤックスからゴールを決めた能力はダテではない。左斜め45度が最も得意で、スーパーゴール製造機でもある。
左サイドが中村敬斗と三笘薫だなんて夢がある。この二人の相手をさせられた敵のサイドバックの腰と足首は崩壊すること間違いない。
中井 卓大
理由:サッカー人気が回復する
ピピこと中井卓大は、久保建英と共に天才少年と呼ばれてきた。
ただ久保が早くから実戦を積み重ねてきたのに対し、中井は18歳になってもまだカスティージャでの出場すらままならず。真の姿はベールに包まれている。
それでも真実かメディアの誇張かは分からないが、トップチームのカルロ・アンチェロッティ監督がモドリッチの後釜として高評価しているとの報道も。
中井と久保が同じチームにいたら――低下が叫ばれるサッカー人気の回復に大きく寄与するだろう。
鈴木 優磨
理由:強烈なメンタリティー(ただしCF起用に限る)
ベルギーで17点を取っても呼ばれない。Jリーグで大活躍しても呼ばれない。何をやっても呼ばれない彼は、やっぱり呼ばれないのであろう。
それでもこの男の試合にかける情熱、チームに尽くすメンタリティは、馴れ合いになりがちの集団に強烈な緊張感を与えることだろう。
空中戦に強く、前線での収める能力にも優れる。2010年大会は本田が緊急でCF起用されたが、鈴木は本職としてこの役割を果たせる選手である。
鹿島ではゲームメイクに意欲を出し過ぎており、それがファンたちをヤキモキさせているが、ストライカーとしての矜持に期待したい。
三浦 知良
理由:カズだから
「魂はフランスに置いてきた」――日本中が驚いたフランス・ワールドカップの落選から24年が経った。
50歳を過ぎた現在も走り続ける彼は、その間、豪州からクラブワールドカップに出場した。フットサルのワールドカップにも出場した。
だが彼の魂は今なお彷徨い続けている。子供の頃から抱き続けた夢は、4年に一度のこのワールドカップでなければ叶えられないのであろう。
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