アクシアル リテイリングが増収減益、電気料金の値上げなどが経営を圧迫

アクシアル リテイリングの原和彦代表取締役社長

「原信」、「ナルス」、「フレッセイ」をはじめとするスーパーマーケット事業などを展開する企業グループの持株会社であるアクシアル リテイリング株式会社(新潟県長岡市)は1日、2023年3月期第2四半期決算(連結)を発表した。

売上高は1,257億1,900万円(対前年同期比2.5%増)、営業利益は52億1,200万円(同△8.9%減)、経常利益は54億4,400万円(同△8.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は35億8,300万円(同△9.6%減)と増収減益になった。

売上高は、新規出店による店舗数の増加、商品・原材料などの仕入れ価格上昇の影響や、梅雨明けが早かったことによる気温上昇などにより増加し、収益認識に関する会計基準等の組み替え影響を除外した実績は、第2四半期連結累計期間としては過去最高となった。決算発表の会見でアクシアル リテイリングの原和彦代表取締役社長は、特にプライベートブランド(PB)商品の価格を据え置いていることによるお得感や、惣菜の質の高さなどが支持を得たと分析する。

営業利益などに関しては、販売価格への転嫁を抑制していることにより売上総利益率が微減。また電気料金や各種資材の大幅な値上げと、前年同期は無かった新規出店を2店舗行ったことによる成長投資にかかる費用の発生で前年同期に比べ減少した。

原社長は「売上の部分はこうして支持をいただいているが、特に電気料金の値上げが非常に経営を圧迫しており、自助努力ではどうしようもない状態になっている」と話す。電気料金については当初から増加することを見込んでおり、2023年3月期は前年から10億円増の42億円ほどになると見込んでいたが、半期までの状況を見るに15億円増の47億円まで増える見通しになっているという。

また今期は、原信荒川店(新潟県村上市)が豪雨災害に見舞われたことによる9,200万円の特別損失を計上している。

こうした中、店舗の節電やベーカリーコーナーのレジの廃止など経費の削減を進める。また、「PBをはじめとしたオリジナル商品を伸ばすことで売上を稼いでいく。現状で分母は小さく(今期のような)急激な経費の上昇をカバーするレベルではないが、事業としてネット販売にも注力していく」(原社長)という。そして、「(顧客が)毎日使うような商品については、低価格での提供をできるだけ頑張りたいと思っている。全体の収益などを見ながら考えていきたい」と語った。

スーパーマーケット事業

原信

スーパーマーケット事業の経営成績は、売上高が1,254億1,500万円(対前年同期比2.5%増)、営業利益が49億800万円(同△9.8%減)となった。

来店客数は、外食産業の復調などがあったが、引きつづき感染症拡大の波がつづいたことや、夏季の猛暑の影響から、既存店で前年同期に比べ0.2%増加。全店では、近年の新規出店店舗が概ね好調に推移したこともあり、前年同期に比べ1.3%増加した。

買上点数は、前年同期に見られた来店頻度を減らす分、来店時にまとめ買いをする、食事は外食を控え店舗で購入して内食・中食で済ますといった顧客の動向が緩んだことや、商品・原材料などの仕入価格上昇に伴う販売価格改定の影響により、既存店で前年同期に比べ1.2%減少し、全店では前年同期に比べ0.8%減少した。

一品単価は、生鮮品全般の相場が前年同期に比べ若干高めに推移したことや、商品・原材料などの仕入価格上昇に伴う販売価格改定により、既存店で前年同期に比べ2.5%増加し、全店では前年同期に比べ2.7%増加した。

客単価は、買上点数は前年同期を下回ったが、一品単価が前年同期を上回ったため、客単価は、既存店で前年同期に比べ0.5%増加し、全店では前年同期に比べ1.1%増加した。

商品販売における売上総利益率は、前年同期に比べ0.1ポイント減少し28.8%となった。

その他事業

当第2四半期連結累計期間におけるその他の事の経営成績は、売上高が25億8,500万円(前年同期比1.9%増)、営業利益が2億6,600万円(同1.1%増)となった。

情報処理事業は、主力であるスーパーマーケット事業向けの販売が、情報機器の販売並びに情報処理のいずれも前年同期を上回ったため増加した。一方、外部顧客向けの販売は、納期に至った受注案件が前年同期を下回ったため減少した。

この結果、売上高は、前年同期に比べ0.7%減少したが、営業利益は、生産性の改善による人件費の減少並びに減価償却費などの固定費減少で製造原価が減少したことから、前年同期に比べ27.7%増加した。

印刷事業は、主力であるスーパーマーケット事業向けの販売は、各種印刷物について電子媒体への移行が進んだ影響で若干減少。また、外部顧客向けの販売は、新型コロナウイルス環境下における顧客の事業活動などが低調であったことからの回帰が見られ、印刷物や各種イベント関連の受注が増えて増加した。

この結果、売上高は、前年同期に比べ5.2%増加したが、営業利益は、人員強化による人件費の増加と製造関連の諸経費に関する価格上昇で製造原価が増加したことから、前年同期に比べ46.6%減少した。

清掃事業は、主力であるスーパーマーケット事業向けの販売が、安定した受注を受け前年同期に比べ増加した。また、外部顧客向けの販売は、清掃関連の販売が前年同期並みであったことに加えリサイクル資材の販売単価が上昇し、前年同期に比べ増加した。

この結果、売上高は、前年同期に比べ3.3%増加し、営業利益は、前年同期に比べ0.4%増加した。

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