「臓器移植の発展に貢献期待」 臓器かん流 臨床研究へ 長崎大などが共同講座

オンライン会見をする江口晋教授(右)と吉岡正喜スクリーンホールディングス上席執行役員

 長崎大と産業機器メーカーのスクリーンホールディングス(京都市)は1日、ドナーから提供された臓器に酸素や血液を供給してよりよい状態で移植する臓器かん流システムの臨床導入へ向け、共同研究講座を開設したと発表した。実用化されれば国内初。
 同システムは、提供を受けた臓器に機械で酸素や血液を供給する装置。長時間の運搬などで状態が悪化した臓器の機能を、移植前に改善させる。当面は肝臓移植を想定している。現在は神戸の施設でブタを使って実験中で、2025年度をめどに同大で臨床研究を開始したい考え。
 同大によると、日本の脳死肝移植は年間50~80件で、移植までの患者の平均待機期間は1年4カ月。
 オンラインで記者会見した江口晋同大大学院医歯薬学総合研究科教授は「このシステムの実用化によって、より多くの臓器移植が行われ、欧米よりドナー数の少ない日本で臓器移植の発展に貢献することが期待される」と話している。


© 株式会社長崎新聞社