被爆者の写真とメッセージ並ぶ 継承プロジェクト作品展 長崎原爆資料館で16日まで

成果報告会で、被爆証言の聞き取りや撮影をした感想を発表する小中学生=長崎市平野町、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 若者が被爆者を撮影しながら、被爆証言を聞き取るプロジェクト「継承フォトワークショップ」の作品展が、長崎市平野町の長崎原爆資料館で開催されている。被爆者の「いま」を切り取った写真とともに、伝える側と受け継ぐ側それぞれのメッセージが並ぶ。「戦争には勝ちも負けもない」「自分でも平和の取り組みを考え、実践する」-。16日まで。
 市内で写真店を経営する草野優介さん(34)が昨年始め、2年目の取り組み。被爆者が高齢化する中、若者になじみのある写真撮影を通じて継承活動のハードルを下げようと企画した。今年は取材担当として、小学生から20代社会人までの個人・団体8組21人が参加。語り部として被爆者9人が協力した。
 8組は夏ごろから、それぞれ被爆者に取材した。被爆や戦中戦後の体験を聞き取りながら、記憶をたどる様子やほほ笑む姿など、さまざまな表情を撮影。被爆者の体験談や平和への思い、自らの感想を文章にまとめた。

若者らが撮影した被爆者の写真や、取材した被爆証言、感想文などの作品=長崎市平野町、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 参加した若者らは10月30日、長崎市内で成果を報告した。長崎純心大3年の東優美さん(20)は「(取材した被爆者が)生きていてくれて良かったと心から思った。『命を奪い合ってはいけない』という気持ちを次の世代につなぐ大人になりたい」と発表。市立土井首小6年の辻実弘君(11)は「原爆はなくなったほうがいいと思う。戦争を起こさないため自分にできることをしたい」と決意した。
 取材を受けた被爆者の一人、舩山忠弘さん(84)は「被爆77年で記憶が風化する中、若い人が継承してくれるのは涙が出るほどうれしく、感謝したい」と語った。
 作品は長崎原爆資料館地下2階の円形パビリオンに展示している。無料。問い合わせは草野さん(電095.815.8589)。


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