生糸貿易を題材にした浮世絵など100点展示 横浜のシルク博物館で特別展、13日まで

詳細に描かれた貞秀の名所絵を熱心に鑑賞する来場者=シルク博物館

 近代日本の発展を支えた横浜の生糸貿易の歴史を紹介する特別展「横浜から世界へ 海を渡った生糸」が、シルク博物館(横浜市中区)で開かれている。

 特別展には、開港初期の横浜や、生糸貿易の取引の様子などを題材にした浮世絵や貴重な記録資料、写真など約100点が並ぶ。

 幕末の浮世絵師、貞秀が描いた大判6枚続きの名所絵「再改横浜風景」(1861年)は今回が初展示。外国人居留地を含む風景画で、現在の同館の場所に立っていた、当時の英国を代表する総合商社ジャーディン・マセソン商会(英一番館)も描かれている。また、開港直後の横浜で活躍した生糸商・中居屋重兵衛が開店準備に奔走する姿を記した「昇平日録」(59年)や、火薬の研究者でもあった重兵衛が刊行した火薬製法書なども展示している。

 明治時代に富岡製糸場(群馬県)で作られた「富岡製糸所飛切生糸」(三井文庫所蔵)をはじめ、太い縄のように束ねた生糸の標本も見ることができる。同館は「横浜の生糸貿易の歴史と蚕糸業に携わった人々の歩みを振り返る貴重な機会です」と来場を呼びかける。

 13日まで。月曜休館。一般700円ほか。問い合わせは、同館電話045(641)0841。

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