柳田邦男さん鹿沼で講演 戦争体験語り、中学生と討論も【動画】

鹿沼市内の中学生と戦争や平和について語り合う柳田さん(右)

 【鹿沼】市と市教委は5日、市出身のノンフィクション作家柳田邦男(やなぎだくにお)さん(86)を招き、市民文化センターでトークイベント「未来へ語り継ぐ戦争体験~柳田邦男と中学生の対話~」を開催した。会場に詰めかけた多くの観覧者を前に、柳田さんは「戦争は何としても避けないといけない」と力説した。

 柳田さんはNHKの記者として被爆者問題や災害、事故などの報道を担当してきた。退職後は、現代における「いのちの危機」をテーマに執筆活動に取り組んでいる。

 講演では、戦時中に柳田さんが市内で経験した空襲に触れ「戦争は、軍人だろうが子どもだろうが無関係に殺りくしてしまう出来事だと身に染みた」と振り返った。また、戦争体験が自身の青春時代を形作ったとし、「世の中のことを自分の目や足で学んで社会に伝えたい」という気持ちが芽生え、記者としてのキャリアを選んだと語った。

 講演後には、8月に市の「広島平和記念式典派遣事業」に参加した中学生とのパネルディスカッションが行われた。「今日ある日本の平和について考えること」「平和な社会とはなにか」など4テーマに沿って意見を出し合った。「ロシアのウクライナ侵攻問題」のテーマで柳田さんは、戦争の原因は家庭での優しい顔と戦場での違った表情といった「人の心の変わりやすさにある」などと指摘した上で、平和を維持することの尊さを訴えた。

 ディスカッションに参加した北押原中3年、川村誠十郎(かわむらせいじゅうろう)さん(15)は「(国の行く末を)間違った方向に進ませないためには相手を思いやる心が必要だと学んだ」と話した。

戦争や平和について語り合う柳田さん(右)と鹿沼市内の中学生
自らの戦争体験について語る柳田さん

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