疑惑は晴れたか? 野党から辞任要求相次ぐ寺田総務大臣 先週の追及ポイント整理 関係する政治団体めぐり防戦一方の答弁

先週も故人が会計責任者とされていた問題が、国会で問われ続けました。いまやすっかり有名になった感のある「寺田稔竹原後援会」です。竹原後援会は、2019年と2020年の政治資金収支報告書を、故人を会計責任者として記載し、選挙管理委員会に提出していました。

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法律違反を認めた寺田大臣

政治資金規正法では、収支報告書は会計責任者が提出することになっています。先月31日に訂正したということですが、このことが政治資金規正法違反だと寺田大臣が認めたのです。異動届は7日以内という規定があることを突いた質問でした。

□ 衆議院 政治倫理・公選法改正特別委員会 10月31日

塩川鉄也議員 共産党
「会計責任者が2019年10月に亡くなってから3年間も届け出事項を訂正しないままでいたと。このことは政治資金規正法の規定に反するということは明らかですよね」

寺田総務大臣
「はい。罰則規定はないものの、7日以内の届け出という規定にはですね、反していると思います」

政治資金を所管する総務大臣が認めた法律違反。寺田大臣は、いっそう苦しい立場に追い込まれました。

さらに浮上したのが、竹原後援会が受け取った領収書に「寺田稔」宛てのものがあるということ。寺田大臣は、即座に政治資金規正法上、問題がないと火消ししました。

しかし、竹原後援会は自身が指示監督すべき団体ではなく、あくまで “別団体” と線引きする寺田大臣に対し、両者は一体という印象は強まりました。

”故人が会計責任者” は罰則の対象か

ところで、故人の押印まである収支報告書は、どのように作成し、提出されたのか。

非常にわかりにくい答弁ですが、▽職務代行者、▽収支報告書に名前が記載されている2人の事務担当者、▽別の「事務を行う者(寺田大臣)」の少なくとも4人が関わっていると整理できます。

そのうえで、提出の事務は、「事務を行う者」が行ったとしています。この「事務を行う者」に死亡情報が連絡ミスで伝わっていなかったというわけです。

ただし、自分が直接、管理する団体ではないので事務処理の詳細は承知していないという態度は変わりません。

いずれにせよ、収支報告書に故意または重過失により虚偽の記入をすると罰則が科されますが…。

□ 衆議院 政治倫理・公選法改正特別委員会 10月31日

寺田総務大臣
「個別の事案につきましては、その判断は控えたいと思います」

なぜか収入印紙が貼られていない

追及の材料はまだあります。「寺田稔呉後援会」は、寺田大臣の妻に事務所の家賃を支払っていると収支報告書に記載しています。しかし、2018年の領収書コピーに収入印紙が添付されていなかったのです。

□ 衆議院 政治倫理・公選法改正特別委員会 10月31日

寺田総務大臣
「収入印紙を添付していない時点でコピーがなされ、そのコピーを選管に提出しております。当日、速やかに400円の収入印紙が添付をされ、保管をされているところです」

妻への家賃支払いは、寺田大臣が代表の自民党広島県第5選挙区支部の収支報告書にも記載があります。

妻は家賃収入を納税しているのか。野党は、確定申告書の国会への提出を求めていますが、寺田大臣は個人情報で非開示対象だとして拒絶しています。

2つの支払元は何のため? 寺田大臣は源泉徴収逃れの疑惑を否定

□ 参議院 総務委員会 11月1日

伊藤岳議員 共産党
「源泉所得税を支払わなくてすむためのトンネルとして、以正会という支払元を作ったのではないか?」

「以正会」とは、寺田大臣の妻が代表の政治団体。この以正会が結んだとする請負契約に関する疑惑もくすぶり続けています。

寺田大臣の説明では、自民党広島県第5選挙区支部の常勤職員(私設秘書)には源泉徴収のある給与を支部から支払っています。一方、常勤ではないスタッフとは源泉徴収が不要な請負契約を結んでいるというのです。

以正会から支払われる請負の報酬は、支部の常勤職員の給与に上乗せされているのでは…。この件を「疑惑の本丸」とみる野党関係者もいます。

寺田大臣は、疑惑を真っ向から否定。2つの支払元があるのは、常勤職員への給与と常勤ではない請負契約スタッフへの報酬を峻別するのが区分経理のうえで適正と判断したためと理解を求めています。

□ 参議院 総務委員会 11月1日

小沢雅仁議員 立憲民主党
「ガラス張りの答弁をされていますか、大臣」

伊藤岳議員 共産党
「大臣の答弁はいつもグレーなんですよ」

収支報告の適正確保と透明性向上が政治資金規正法の要請するところです。自民党の議員からも「所管大臣だから責任は重い」という声が聞こえてきます。

国会での相次ぐ辞任要求に耐え続ける寺田大臣―。今週も答弁に立つ委員会が待っています。

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