増やしたいのは休憩、生徒との交流時間…教職員ら長時間勤務、事務に悲鳴 川口のNPOがアンケート調査

長時間勤務、事務に悲鳴 NPOが教職員アンケート

 いじめ問題に取り組む埼玉県川口市のNPO法人「プロテクトチルドレン」(森田志歩代表)は、教師の働き方にスポットを当てた全国教職員アンケートの結果を発表した。現場の教師が「長時間勤務・持ち帰り」や「事務」に悲鳴を上げている実態が浮かぶ。多くの教師が生徒との交流・休憩・授業準備の時間がもっと欲しいと訴えている。

 調査は6、7月に各地の10自治体の教育委員会や学校経由で埼玉県を含む全国の教員に行い1522人の有効回答を得た。うち小学校は636人、中学校514人、高等学校297人。

 調査テーマは、(1)教師たちの勤務実態(2)何に困っているか(3)教員の働き方改革をさらに進めるための根拠―の3点。

 1日の学校内の勤務時間については、平日は12時間が最多で33%。土日(部活を含む)はゼロが多いが半数が勤務した時間があった。1カ月の残業時間は70~80時間が最多で、過労死ラインの80時間以上は17%(255人)。持ち帰って仕事をする時間は1週間で1~5時間が最多で、10%(149人)が10時間以上と答えた。

 1日の業務の中で、作業時間を減らしたいもののトップは報告・記録などの「事務」で54%を占める。以下、持ち帰り業務49%、コロナに関する対応45%、保護者・PTA対応33%、会議打ち合わせ33%の順。

 一番ストレスに感じる業務は、事務54%、保護者・PTA対応47%、不登校やいじめなどの対応40%、コロナ対応39%、部活動27%だった。

 外部に委託してもいい、外部に関わってほしいものについては、部活動58%、事務・調査回答・記録49%、保護者・PTA対応34%、不登校・いじめの対応30%の順だった。

 一方、増やしたいものについては「休憩の時間」「生徒との交流や見守りの時間」「授業準備」などが4割を超えた。

 調査を実施したNPOの代表、森田志歩さんは「学校は子どもたちにとって安心安全な場所であるべきだが、現状は先生たちの子どもたちへの目配りや気配りが行き届かない。先生たちが一人一人の生徒と向き合えるゆとりを持たせてほしい」と語った。

 森田さんはまた「年間で1万人の先生が心の病で休職している現状からみて、先生たち専用の相談窓口をつくってほしい。教育委員会に相談するのは個人の先生には敷居が高すぎる」と語した。

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