伝統野菜の魅力 たっぷり 雲仙「守り育む会」が冊子作成

「育てよう味わおう雲仙の食 守る野菜編」

 長崎県雲仙市の有機農業生産者でつくる「雲仙市 伝統野菜を守り育む会」(岩﨑政利会長、6人)は、会員が栽培する伝統野菜の特徴や食べ方を紹介する冊子「育てよう味わおう雲仙の食 守る野菜編」を作成した。近年、注目されている同市の在来種野菜の魅力をたっぷり伝えている。
 絶滅していたとみられていた漬物野菜「雲仙こぶ高菜」が同市吾妻町の畑のそばに自生しているのを、岩﨑会長(72)が2002年に発見。地元有志と共に自家採種、有機栽培の流れをつくった。こぶ高菜が08年、スローフード国際本部から伝統野菜の最高位「プレシディオ」に日本で初めて認定されたのに合わせ、同会を結成。市内の伝統野菜すべてに光を当てようと、栽培品種を増やしている。
 冊子はA5判カラー、18ページ。こぶ高菜のほか、薄切りにしてショウガ焼きにするとおいしい「守山こんにゃく」、ポタージュで味わうのが一押しの「千々石ひょうたんぶな」など計6品種を紹介。それぞれの野菜の由来や特徴、味などをイラストを添えて解説している。500部、同市役所本庁舎や6町の支所などで配布する。
 10月28日、市役所を訪ね金澤秀三郎市長に冊子完成を報告。同会事務局でこぶ高菜の加工販売に取り組んでいる馬場節枝さん(71)が「私たちの思いを一般の方々に伝えるために冊子にした」とあいさつ。岩﨑会長は「伝統野菜を守り続けるだけでは地域貢献は少ないと感じている。料理と結びつけてストーリー性を持たせ、雲仙市から多様な食文化を伝えていきたい」と展望を語った。同会は調理動画の配信や冊子続編の準備も進めている。
 金澤市長は活動をねぎらい、「今後も伝統野菜ひいては市全体の農業をけん引していただきたい」と期待を寄せた。

伝統野菜の冊子に込めた思いを語る岩﨑会長(右)と馬場さん=雲仙市役所

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