ラムサール登録の中池見湿地で「侵略的外来種」相次ぎ発見 福井県敦賀市、生態系や農業影響懸念

オオバナミズキンバイとみられる植物
中池見湿地で見つかったナガエツルノゲイトウとみられる植物(中池見ねっと提供)

 国際的に重要な湿地としてラムサール条約に登録されている福井県敦賀市樫曲の中池見湿地で、特定外来生物の「ナガエツルノゲイトウ」「オオバナミズキンバイ」とみられる植物が相次いで見つかった。ともに水草の一種で、県内では初確認。発見された個体は地元NPOが駆除したが、驚異的な繁殖力で「侵略的外来種」とされ、定着すると生態系や農業への悪影響が懸念される。

 国立環境研究所の侵入生物データベースなどによると、ナガエツルノゲイトウは南米原産で、数センチの茎の断片からでも根が出るなど繁殖力が強い。水面全体を覆い尽くすほど繁茂する上、乾燥にも強く陸上でも繁殖する。生態系だけでなく農業にも悪影響を及ぼし、「地球上最悪の侵略的植物」とも呼ばれる。オオバナミズキンバイは北米、南米原産で同様の特徴がある。

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 湿地の保全や活用に取り組むNPO法人「中池見ねっと」のメンバーが2022年5月、湿地北側にある「蛇谷(じゃだに)」の休耕田でオオバナミズキンバイとみられる1株、池でナガエツルノゲイトウとみられる1株を発見。9月にも湿地西側の「北七曲(きたななまがり)」などでも1株ずつ見つかった。

 「中池見ねっと」理事の藤野勇馬さん(27)が8月、大津市で開かれた「侵略的外来水生植物ワークショップ」で発表した。藤野さんは「水鳥や来訪者の靴などで持ち込まれたかもしれないが、侵入経路は分からない」と話す。「近づきにくい場所で繁茂すると(他の場所への)供給源になりかねない。周囲の水田や水路に抜け出ると大きな経済的被害につながる恐れもある」と憂慮している。

 オオバナミズキンバイ、ナガエツルノゲイトウは滋賀県の琵琶湖で大規模に繁殖しており、2013年度から同県や周辺の市、NPO、漁協などでつくる琵琶湖外来水生植物対策協議会が駆除に取り組んでいる。京都府では17年ごろから鴨川流域でオオバナミズキンバイの分布が確認され、19年から大規模な駆除活動を展開。オオバナミズキンバイが今年9月に初確認された山梨県は10月、緊急対策会議を開いている。

情報提供を

 NPO法人「中池見ねっと」は、敦賀市樫曲の中池見湿地で発見された特定外来生物「ナガエツルノゲイトウ」「オオバナミズキンバイ」の情報提供を呼びかけている。

 中池見湿地だけでなく、敦賀市内で発見した場合の情報も求めている。詳細な場所のほか、メールの場合は写真を添付する。

 同NPO=電話090(8269)9801、メールinfo@nakaikeminet.raindrop.jp=で受け付けている。

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