美浜原発の過酷事故を想定、30キロ圏内住民が広域避難訓練 福井県、初めて石川県と奈良県へも

石川県の小松市民センターに到着し、福井県越前市職員から避難の説明を聞く訓練参加者ら=11月6日、同センター

 地震による関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の過酷事故を想定した国の原子力総合防災訓練は最終日の11月6日、原発からおおむね30キロ圏内(UPZ)に入る住民の広域避難訓練を行った。福井県の美浜町、敦賀市、若狭町、小浜市、南越前町、越前市、越前町の住民計589人が、県内外への移動手順を確認した。一方、ヘリコプターによる孤立地域の搬送訓練が、機体トラブルや濃霧で一部中止となった。

 防災訓練は4~6日に実施。嶺南を震源とする地震で美浜3号機が緊急停止し、原子炉を冷却する機能が失われた事態を想定した。

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 6日は、原子力防災訓練で初めての石川県や奈良県への避難を実施。石川県小松市には越前市民54人がバス3台で移動した。

 市民は小学校などでバスに乗車後、紙に印刷されたQRコードをスマートフォンで読み取り、氏名、年齢、連絡先などを入力し受け付け登録した。福井市の県産業会館で放射能汚染検査(スクリーニング)を受け、出発から2時間15分~3時間後、小松市民センターに到着した。実際の事故時には同センターかこまつドームから、小松市内60カ所の避難先施設に振り分けられる。参加した女性(73)は「手順を知ることができてよかった。ただ、道路は渋滞し駐車場もいっぱいになるのではないか」と話していた。

 一方、奈良県天理市へは敦賀市民44人が避難した。

 敦賀半島の敦賀市西浦地区では、道路が寸断され地域が孤立した想定の搬送訓練を実施。無人島の水島付近に停泊する海上保安庁の大型巡視船「だいせん」に、海保のヘリが住民をピストン輸送する予定だったが、ヘリの機体トラブルで中止となった。県防災ヘリでの代替輸送も検討したが調整が難しく断念。代わりにバスで敦賀港の金ケ崎岸壁まで移送した。

 若狭町の旧岬小では、陸上自衛隊の大型ヘリが出発地(鳥取県)の濃霧などで飛行中止となり、高機動車で搬送した。

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