さいたまクリテリウム、フィリプセン選手が初V 3年ぶり開催、8回目 コース沿いに大勢の観客

初出場で初優勝し、表彰式で声援に応えるヤスパー・フィリプセン選手(右から2人目)=6日午後、さいたまスーパーアリーナ

 自転車ロードの国際レース「2022ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」は6日、埼玉県さいたま市のJRさいたま新都心駅周辺で3年ぶりに開催された。国内外のトップレーサー52人が出場したメインレースは、初出場のヤスパー・フィリプセン選手(24)=ベルギー=が初優勝した。さいたまスーパーアリーナを含む1周約3.5キロのコース沿いには、大勢の観客が応援に駆け付け、世界の走りを体感した。

 初来日だったフィリプセン選手は記者会見で、沿道の多くの観客に感謝した上で、「世界中のクールな選手とレースをして、優勝できて良かった。さいたまの良い話を聞いていて、コロナでどうなるかと思ったが、開催できて本当に良かった」と話していた。

 大会は13年から始まり、今回が8回目。新型コロナウイルスの影響で20、21年が中止され、今年は感染防止対策を徹底して3年ぶりに開催された。一般社団法人さいたまスポーツコミッションが主催、さいたま市などが共催した。

■目前走る選手の風「すごい迫力」

 秋晴れの下、会場となったJRさいたま新都心駅周辺の沿道には、市内外から多くの観客が訪れ、世界のトップ選手が走り抜ける風やレースの駆け引きを体感した。

 レース前には実際のコースを走る一般体験走行が行われ、親子ら206人が参加した。さいたま市立三橋小学校4年の村岡志真さん(10)は、清水勇人市長と一緒に先頭でスタート。運動が大好きという志真さんは「市長さんと手を振って楽しかった。下り坂が涼しくて気持ち良かった」。抽選に漏れた父親の武寿さん(47)は娘の走行を沿道で見守り、「楽しそうに走っていたので、良かった」と笑顔だった。

 オープニングセレモニーの後、選手紹介などが行われ、チームと個人によるタイムトライアルレースが行われた。約3.5キロの新都心周辺を17周するメインレースには、ツール・ド・フランス2022で初の総合優勝を果たしたヨナス・ヴィンゲゴー選手(25)=デンマーク=ら国内外のトップ選手52人が出場した。

 立ち見席を購入した東京都世田谷区の主婦馬場久美子さん(70)は、自転車ロードレースのファンで、本場の大会をテレビ観戦している。チームの勝利のために、選手が犠牲になるなど駆け引きが醍醐味(だいごみ)という。クリテリウムの観戦は19年以来、3回目で、「外国のトップ選手の走りは全然違う。スピードを体感したい。3年ぶりなのですごく楽しみ」と話した。

 同市大宮区の会社員南波城さん(27)は、初めて沿道で観戦した。自転車競技が好きで、ツール・ド・フランスもテレビ観戦している。「他のスポーツも好きだけど、こんなに間近で見られる競技はなかなかない。すごく迫力があった」と満足そうだった。

 市内に避難しているウクライナ避難民が招待され、8人が観戦した。日本に滞在歴のあるオレナ・フロメンコさん(46)はロシア侵攻後、シェルターで座って寝る生活が続き、「どうなるか分からず、大変だった」と振り返った。3月12日、障害のある家族と日本に避難したという。「(レースは)面白い。感謝の気持ちがある」と日本語で話していた。

 会場周辺では、自転車を楽しむ「サイクルフェスタ」、食をテーマの「さいたまるしぇ」が開かれ、多くの親子連れらが訪れていた。埼玉新聞社は5、6日、さいたま新都心駅前で、別刷り第2部「さいたまクリテリウム特集」約6万部を無料配布した。

さいたまクリテリウムが3年ぶりに開催され、世界のトップ選手の走りを沿道で体感する観客=6日午後、さいたま市内
レース前に一般体験走行が行われ、親子連れなど206人が実際のコース約3.5キロを1周した=6日午後、さいたま市内

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