越前がに「極」310万円で落札されるまでの2分間 越前漁港、どよめいた初競り【若越画報】

仲買人らでにぎわう越前がにの初競り=11月6日、福井県越前町の越前漁港内の大樟荷さばき所

 越前がに漁解禁日の11月6日、福井県越前町の越前漁港内の大樟荷さばき所で行われた初競りでは、最上級ブランド「極」に認定されたズワイガニが破格の1匹310万円で落札された。昨年の過去最高値を200万円以上も更新。競り場がどよめきに包まれる中、落札した居酒屋経営者は「早く提供したい」と破顔した。

 初競りは午後4時に始まった。全国に轟く越前がにの中でも“絶対王者”に位置付けられる「極」を落とそうと、仲買人たちは皆、興奮状態。この日一番の2.2キロの大物は100万円からスタート。次々と指で値段が示される中、「310!」という競り人の大声が響いた。競り開始から約2分だった。

⇒【写真】310万円で落札された越前がにの最上級ブランド「極」

 競り落としたのは、昨年も漁解禁日の「極」に80万円の値を付けた、かねいち水産(越前町)の中橋睦男社長。“至極の一匹”が入ったトロ箱の周りには人が押し寄せ、その姿に心を奪われたようなまなざしを向けた。

 大量の越前がにを積んだ底引き網漁船は、6日午前8時ごろから続々と越前漁港に帰港。漁師たちは船上で「早く手を動かせ」と、手伝いの家族とともに越前がにの証しである黄色いタグをあわただしく付けていった。「共栄丸」の米沢綾兼船長は「今年もカニシーズンが始まった」。漁の疲れも見せず、引き締まった表情を浮かべた。

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