デンカが決算、価格見直しや円安影響で増収も交易条件の悪化などで減益に

デンカ株式会社の青海工場(新潟県糸魚川市)

デンカ株式会社(東京都)は8日、2023年3月期第2四半期決算(連結)を発表した。売上高は2,029億2,800万円(前年同期比6.2%増)、営業利益は183億800万円(同△27.4%減)、経常利益は170億2,000万円(同△28.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は143億2,700万円(同△20.6%減)となった。

当第2四半期連結累計期間の業績は、中国経済減速や自動車減産などの影響による需要減があったが、原材料価格の上昇に応じた販売価格の見直しを行ったほか円安による手取り増があり、売上高は前年同期に比べ117億8,400万円の増収となった。利益面では、交易条件の悪化やスペシャリティー化進展のためのコスト増があり、減益となった。

電子・先端プロダクツ部門

球状アルミナの販売は、xEV向けは一時的な減少があったが、5G関連やデータセンター向けが堅調に推移し概ね前年並みとなった。高純度導電性カーボンブラックは販売価格の改定により増収となり、電子部品・半導体関連分野向け高機能フィルムや球状溶融シリカフィラーの販売も概ね堅調となった。

一方、自動車産業用向けの金属アルミ基板「ヒットプレート」やLED用サイアロン蛍光体「アロンブライト」の出荷は前年を下回った。

この結果、当部門の売上高は474億8,900万円(前年同期比36億7,600万円(8.4%)増収)となり、営業利益は96億2,600万円と前年同期に比べ4億3,500万円(4.7%)の増益となった。

ライフイノベーション部門

インフルエンザワクチンの出荷は生産能力を増強したことから前年を上回った。一方で、新型コロナウイルスの抗原迅速診断キット「クイックナビ ™ -COVID19 Ag」は、地方自治体を通じた高齢者施設への配布や家庭や職場でのスクリーニング検査など、需要の裾野が拡大し供給量が増加したが、保険点数引き下げにより価格が大幅に下落し減収となった。

この結果、当部門の売上高は218億9,200万円(前年同期比33億5,900万円(13.3%)減収)となり、営業利益は65億1,900万円と前年同期に比べ41億9,400万円(39.1%)の減益となった。

エラストマー・インフラソリューション部門

クロロプレンゴムは需要が堅調に推移したほか販売価格の見直しを行い増収となり、肥料の販売も前年を上回った。このほか、特殊混和材の販売は概ね前年並みとなったが、セメントは原燃料価格の上昇に対して価格転嫁が一部にとどまった。

この結果、当部門の売上高は629億円(前年同期比115億500万円(22.4%)増収)となり、営業利益は12億9,300万円と前年同期に比べ12憶5,500万円の増益となった。

ポリマーソリューション部門

スチレン系製品は原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を進めた。数量面では、ABS樹脂や透明樹脂は自動車減産や中国経済減速の影響を受け減少し、デンカシンガポール社のMS樹脂はテレビやモニター向けの需要が減少した。また、スチレンモノマーは定期修繕を実施したことから出荷が減少したほかコストが増加した。このほか、食品包材用シートおよびその加工品は概ね前年並みとなり、合繊かつら用原糸「トヨカロン」の販売は前年を下回った。

この結果、当部門の売上高は636億1,800万円(前年同期比3億8,800万円(0.6%)増収)となり、1億5,300万円の営業損失(前年同期は営業利益43億3,700万円)となった。

その他部門

YKアクロス株式会社などの商社は取扱高が概ね前年並みとなった。

この結果、当部門の売上高は70億2,600万円(前年同期比4億2,600万円(5.7%)減収)となり、営業利益は13億3,400万円と前年同期に比べ3億1,400万円(30.8%)の増益となった。

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