ファストリ、SMC、キーエンスに続く企業は?日本の「値がさ株」ランキング

株式の値段である株価は、数十円の銘柄から数万円の銘柄まで、企業によりさまざまです。アメリカ株は1株から買うことができますが、日本株は基本的には1単元100株単位での売買をすることになるので、「株価× 100」というのが企業への最低投資額となります。

株価の水準が高い株を「値がさ株」といいますが、その値がさ株の動向に注目が集まっています。なぜいま注目されているのか、日本市場の値がさ株ランキングとともにお伝えしていきます。


「値がさ株」の基準は?

「値がさ」といっても、どの程度高ければ値がさ株なのかという明確な基準はなく、株式が割安か割高かは関係なく、その時々の相場の水準によって変わるようです。ただ、株価が5,000円以上の銘柄の場合、1単元(100株)の購入金額が50万円以上、つまり投資資金が50万円以上必要となり、個人投資家にはややハードルが高い金額と言えることから、株価5,000円以上の銘柄を値がさ株ということが多いようです。

任天堂(7974)は10月に株式分割をして買いやすくなったと言われても、株価は5,000円を超えているので値がさ株のと言えそうです。個人的には株価が1万円を超えると、最低投資資金が100万円を超えるので、値がさ株だなぁと感じることが多いです。

売買代金ランキングの上位に値がさ株が入ってくると、日本市場が買われている、相場が上向いてくると判断する一つの材料となります。また日経平均株価は、構成される225銘柄の株価の平均ですので、値がさ株の値動きに大きく影響を受けます。例えばファーストリテイリング(9983)について、ニュースなどで聞く「日経平均株価の寄与率が高い」という前置きは、そういう意味なのです。

日経平均株価に連動するインデックスファンドなどに投資をしている方、また検討されている方は、値がさ株についても動向を確認しておく必要があるでしょう。なお、株価が高くも安くもない銘柄を「中位株」、株価が安い水準にある銘柄を「低位株」と呼びます。

東証の動きをチェック

東証は個人投資家が投資しやすい環境を整備するために、1990年に上場会社に対して投資単位の引き下げの要請を開始しました。当時は1,000株単位での売買が主流だったこともあり、投資金額が大きく、そのために「投資はお金持ちがするもの」というイメージをお持ちの方が多かったのかもしれません。

しかし、東証の要請にかかわらず売買単位の引き下げはスムーズには進まず、株式の売買単位が100株に統一されたのは2018年10月のことでした。

それまでバラバラだった売買単位が統一されて売買しやすくなったといえます。また東証は2001年に、上場規則の努力義務として「50万円未満」の水準が望まれる旨を明示しました。現在は95%の会社が50万円未満の水準を維持しているとのことですが、その一方で株価が高い水準にとどまっている企業もあります。

日本取引所グループによりますと、「投資単位が50万円以上の会社(高投資単位会社)の割合は、近年10%を下回る水準で推移しており、2022年9月末時点では、95.1%の会社が50万円未満となっています」(※)とのことで、2022年10月27日に投資単位が50万円以上の会社に対して、投資単位の引下げに係る検討について要請を行った旨が記載されています。
※引用:日本取引所グループ「投資単位の引下げ / 株式分割の仕組み・効果」より

それを受けて投資単位が高い水準にある上場会社、つまり値がさ株の企業が投資単位の引き下げのために株式分割を行う可能性があります。

株式分割のメリットとしては、以前の記事でも解説しましたが、投資家が買いやすい値段となる事で、その株を投資対象とする人が増える、つまり買いたい人が増えれば株価が上がる可能性があげられます。また適切な株価に分割で調節することで流動性も改善されると考えられます。そのため株式分割は買い材料であるといえます。

日本の値がさ株ランキング

指数の上昇シグナルとなると言われ、東証の要請を受けて株式分割をする可能性もある値がさ株について、2022年11月9日(水)時点の株価を元にランキングをチェックしてみましょう。

1位はファーストリテイリング(9983)です。衣料品のユニクロやGUで有名な企業で、世界的にも有名な企業です。株価は8万円を超えており、現物株での投資資金は800万円以上必要となります。

2位のSMC(6273)はFA空圧制御機器で世界首位の空気圧制御機器メーカーです。3位のキーエンス(6861)はFA(ファクトリー・オートメーション)用センサーを中心に測定器や画像処理機器の企画や設計、開発、生産を手掛ける企業です。

4位は半導体企業の東京エレクトロン(8035)、5位はエスケー化研(4628)、6位はディスコ(6146)、7位はレーザーテック(6920)、8位はシマノ(7309)、9位はSHIFT(3697)、10位はダイキン工業(6367)です。10位のダイキン工業でも株価は2万円(必要投資金額は200万円)を超える水準となっています。

現物では投資資金のハードルが高いという方は、証券会社によっては1株から買える制度があったり、CFDという少額でレバレッジをかけた取引もできますので、気になる方は調べてみてください。

なお、値がさ株が必ず分割する、上昇するということではありません。また、個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。皆さまが投資戦略を考える上で、情報集めの参考になれば幸いです。

11月7日週「相場の値動き」おさらい

今週の相場の注目ポイントは米中間選挙とCPI(消費者物価指数)の発表でした。

米中間選挙は米与野党が接戦しており、与党である民主党が予想以上に善戦しましたね。
まだ大勢判明には時間がかかるようで、12月6日(火)に決まったジョージア州の決選投票が焦点となりますが、下院では共和党が過半数議席を獲得する見通しとなっており、ねじれ議会への期待が後退しました。

10月のCPIはコアが前年同月比6.3%上昇で前月の6.6%から減速し、市場予想の6.5%も下回る結果でした。インフレが鈍化する結果といえることから、12月のFOMCで利上げ幅が0.5%と前月比で縮小するとの観測が強まった模様です。ソフトランディングできるとの期待感が高まった形でしょう。

FedWatchではこれまで12月のFOMCで利上げ幅は0.75%と0.5%がせめぎ合っていたのが、CPIの結果を受けて0.5%が9割を超えています。

CPIの結果を受けて、米長期金利は前日の4.08%から3.8%台前半に大幅に下落、
為替市場でドル円は146円台から140円台まで、なんと6円強の大きな下落となりました。

また統計的に中間選挙後は株価が上昇しやすいと言うことも後押ししているようで、週末の10日の米市場は大幅上昇で、ダウ平均は前日比1201ドル高となりました。
このまま年末ラリーにつながっていくのか注視していきましょう。

日本市場では11月11日(金)の日経平均株価は前日比817円47銭高の2万8,263円57銭と反発。2万8,000円の大台を回復しました。
先週末11月4日(金)の日経平均株価は2万7,199円74銭でしたので、週間では1,063円83銭の上昇となりました。

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