退職する人は必見!任意継続か国保か、保険料が安くなるのはどっち?

会社員を辞めてフリーランスになろうと考えている人、または定年退職で仕事を辞める人など、退職してすぐに次の会社に勤めない場合には、重要な手続きが3つあります。

まず、「雇用保険の手続き」で、失業給付の申請です。次の仕事が決まっていない場合には、とくに重要です。次に60歳未満の人は「年金の手続き」が必要です。第3号被保険者から、第1号被保険者へ変わります。企業年金も手続きが必要ですので、人事部などに確認してください。

最後に、忘れていけないのが、「健康保険の手続き」です。

会社の健康保険を継続するか、別の健康保険に入るか、どちらにしても手続きが必要です。2022年1月から少し改正があり、加入する健康保険によってはお得になります。

今回は、2022年の改正を含め、退職したときの健康保険の手続きについて説明したいと思います。


健康保険の手続きは3つの方法がある

退職後、健康保険の手続きをしていないと、無保険の状態になってしまいます。健康保険に加入していれば、病気やケガをして病院で治療しても、支払う治療費は通常3割負担ですが、無保険のままだと全額負担になってしまいます。大きな病気やゲガのときは大変です。ですから健康保険はできるだけ空白を作らずに手続きを行いましょう。

会社を退職した場合、健康保険への加入方法は、大きく分けて次の3つあります。

1.健康保険の任意継続健康被保険者になる
2.国民健康保険に入る
3.家族の健康保険の被扶養者になる

1. 健康保険の任意継続被保険者になる

健康保険の任意継続被保険者とは、退職前に加入していた健康保険にそのまま2年間継続することです。会社が半分負担していた分がなくなりますので、保険料は全額自己負担になります。つまり保険料は倍になります。

次に説明をする国民健康保険に入るのと、どちらの保険料が安いのかというと、任意継続被保険者を選んだ方が安くなるひと がいます。

国民健康保険の保険料は前年の所得によって決まるので、現役のときに所得が高いと保険料も高くなります。任意継続の場合も同じく退職前の給与によって保険料が計算されるのですが、保険料を算定する標準月額報酬は、最高で30万円程度です。給与の高い人ほど保険料が抑えられます。一般的に月給が約40万円以上の人は、任意継続被保険者を選んだ方が保険料は安くなります。そして、この保険料は2年間、固定されます。

その他のメリットとしては、いままで通りに保養所や人間ドックの受診補助など、健康組合のサービスが使えることがあげられます。扶養家族がいる場合にも、いままで通りに被保険者1人分の保険料で大丈夫です。

任意継続被保険者の手続きは、退職日の翌日から20日以内に申請をする必要があるので注意してください。

2. 国民健康保険に入る

先ほども説明しましたが、国民健康保険の保険料は前年の所得で決まります。そして、国民健康保険に扶養制度はなく、加入者それぞれに保険料の負担が発生します。また、保険料は、全国一律ではなく、地域によっても異なります。

先ほど、給与が高い人は任意継続被保険者の方が保険料は安くなると説明をしましたが、じつは2年目以降は、国民健康保険の方が安くなることがあります。

例えば次のパターン。会社を辞めた1年目は、前年の給与所得が多いと保険料は高くなります。ただ、2年目は、会社をやめた後の収入となるため、所得が減った場合は、その分保険料が安くなります。逆に任意継続被保険者は2年間固定されたままなので、保険料は変わりません。

任意継続被保険者は、いままでは途中で脱退することができなかったのですが、2022年1月から、希望すれば脱退できるようになりました。

健康保険の得する入り方としては、最初の1年目は任意継続被保険者に加入して、2年目からは国民健康保険に変更する方法があります。

3. 家族の被扶養者になる

配偶者や子どもの被扶養者になれば、健康保険の保険料は負担しなくてもよくなります。もっとも安上がりな方法ではありますが、被扶養者になるには条件があるので、事前に健康保険組合に確認をしておく必要があります。

被扶養者になる条件は、被保険者の直系尊属(父母等)・配偶者・子・孫・兄弟姉妹に生計を維持している75歳未満の方で、年収が130万円未満、かつ被保険者の年収の半分未満であることなどが条件です。

特定健康保険組合の特定退職被保険者

3つの方法があると述べましたが、じつはもうひとつあります。それは特定健康保険組合に入っている人は特定退職被保険者になることができます。この特定健康保険組合は厚生労働省で認可された保険組合で、現在は組合自体の数が減っていて、加入条件も厳しいため、利用できる人は限定されています。ただ、もし該当する方がいれば、お得なので加入するのをおすすめします。

どの健康保険の手続きをすればいいのかは、所得の状態によって変わりますので、ご自分の所得を考えながら検討してください。また、それぞれの申込み期限がありますので、くれぐれも早めに手続きをするようにしてください。

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