横田めぐみさん拉致から45年 母親の早紀江さん、失踪後に描いた希望つなぐ絵画

新潟の港を描いた「小さな漁港」を手に持つ横田早紀江さん=川崎市川崎区(代表撮影)

 赤い海が印象的な漁港の風景─。横田早紀江さん(86)は、めぐみさんが失踪し、数カ月後に描いた油絵を見せてくれた。新潟県内の漁港で、めぐみさんを捜し回ったこともあり、つらい思い出がある場所だ。しかし、夕日に照らされた海をイメージし、明るい雰囲気を表現したという。

 自宅マンションで会見を行った8日は、マンション内で住民が企画した作品展の準備が進められ、早紀江さんの絵画も飾られていた。会見で話題となり、絵についても話してくれた。「青い海は、おどろおどろしいでしょ。それが嫌だから明るい色にしました。絵の先生に褒められたんですよ」

 この作品はめぐみさんへの思いを込めたものではないというが、めぐみさん失踪後、喪失感を少しでも紛らわすために始めたのが絵画だった。涙を流しながら筆を執ったこともある。めぐみさんの成長した姿を想像して描いたことも。「心の支えになった」と言い、拉致問題に取り組みながら、時には絵を描くことで希望をつないできた。

 「絵を描いていなかったら、私はどうなっていたか…」とつぶやいた早紀江さん。自宅で飾られた絵を日ごと眺め、まな娘との再会を待ち望んでいる。

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