障スポで育まれた自主性と自信 選手支えた教諭、教育的意義を実感

青葉高等学園陸上部で指導する服部教諭。「障スポを機にスポーツを楽しむ生徒が増えてほしい」と願う=11月上旬、宇都宮市京町

 10月末に開催された全国障害者スポーツ大会「いちご一会とちぎ大会」(障スポ)では、30人を超える特別支援学校の教諭が監督やコーチなどとして選手団に加わり、選手と寝食を共にして活躍を支えた。県勢が獲得したメダルは、金62個を含む過去最多の144個に上った。閉会から半月が過ぎ、心に刻まれた選手の努力や成長を振り返り、スポーツを通じた障害者教育の意義を再認識している。

 陸上は金メダル30個を獲得した。監督を務めた特別支援学校宇都宮青葉高等学園の服部隆志(はっとりたかし)教諭(56)は「陸上競技に詳しい引率者ばかりではない中、大会までに選手たちが培った自主性に助けられた」と感謝する。選手と同じホテルに泊まり、各種目の動きのポイントなどを本番直前まで声かけし、サポートした。

 同校陸上部や、障害者を対象とした地域クラブでも指導する。障スポに刺激を受け、新たにクラブに入った人もすでにいる。「競技力の強化と裾野拡大は両輪。健常者と同じステージで取り組める競技もあり、スポーツは共生社会の実現に役立つ」と力を込める。

 サッカー(知的)代表は障スポ初出場で準優勝と大健闘した。決勝では強豪の東京に最終盤まで互角に戦った。コーチを務めた益子特別支援学校の仲山慶(なかやまけい)教諭(45)は「気迫が違った」と、地元開催に懸けた選手たちの思いを振り返る。

 チームは中学3年から30歳までの16人。早朝から自主練習し、タンパク質を多く取るなど食生活まで変わった。練習の反省点をノートに書き込む選手もいた。「主体的に考え、行動できるようになった」。

 試合を重ねるごとにチームは強い信頼感で結ばれていった。普段の生活だけでは学べない成長に「銀メダル以上の価値があった大会」と感慨深く語った。

 今大会から正式種目となったボッチャ(身体)では、のざわ特別支援学校の小松原朋花(こまつばらともか)教諭(28)が介助員を担った。勝負にこだわり、喜びや悔しさの感情をあらわにする選手たちの姿に間近で触れた。「頑張りが結果を生み、自信につながったと思う。参加できて光栄」。経験が教員としての大きな財産となった。

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