“スーパー・サブ”ヒュルケンベルグ、経験と知識を買われてF1復帰が実現。アブダビテストでハース初走行へ

 ハースF1チームは、2023年にミック・シューマッハーに代わり、ベテランのニコ・ヒュルケンベルグをレースドライバーとして起用することを決定、ヒュルケンベルグとケビン・マグヌッセンの経験豊富なドライバーラインアップに大きな期待を寄せている。この数年は“スーパー・サブ”としてF1にスポット参戦してきたヒュルケンベルグは、2019年末以来のレギュラードライバーへの復帰を果たすことになった。

 現在35歳のヒュルケンベルグは、2010年にウイリアムズからF1デビュー、2011年はフォース・インディアのテストドライバーとして過ごした後、2012年から同チームでレースドライバーに復帰。2013年にはザウバーと契約、2014年から再びフォース・インディアに戻り、3年間を過ごした。2017年から2019年にルノーで走った後、ヒュルケンベルグはレギュラーシートを失った。

 しかしその後、5回にわたって、新型コロナウイルス感染症で欠場を強いられたドライバーたちの代役を務め、素晴らしいパフォーマンスを見せたことから、“スーパー・サブ”と呼ばれた。2020年には、イギリスGPと70周年記念グランプリ(シルバーストン)でレーシングポイントのセルジオ・ペレス、アイフェルGPでは同チームのランス・ストロールに代わって出場、ヒュルケンベルグはこの3戦のうち2戦で入賞を果たし、70周年記念グランプリでは予選3番手を獲得した。

2020年F1 70周年記念GP ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタス(メルセデス)とニコ・ヒュルケンベルグ(レーシングポイント)

 2021年からはレーシングポイントの後身アストンマーティンでリザーブドライバーを務め、2022年にはバーレーンとサウジアラビアで、セバスチャン・ベッテルの代役で出走した。

 ヒュルケンベルグはF1で181回出走し、合計521ポイントを獲得。ポールポジション1回(2010年ブラジルGP)、ファステストラップ2回を記録、ベストリザルトは4位(3回)という成績を収め、表彰台こそないものの、安定したパフォーマンスが高く評価されている。

 ヒュルケンベルグは2015年にはポルシェからル・マン24時間レースに参戦、優勝を達成した。

 ハースF1チーム代表ギュンター・シュタイナーは「ニコ・ヒュルケンベルグにF1のフルタイムレースドライバーの座に復帰してもらうことになり、当然のことながら非常にうれしく思っている」と語った。

「ニコがチームにもたらす経験と知識の基盤は明らかである。F1で200戦近い出走を果たし、予選で速さを発揮し、決勝で堅実かつ信頼できるレースをするドライバーであるという高い評価が確立されている。彼のこういった特質とケビン・マグヌッセンの経験が組み合わされることで、我々は極めて信頼性の高い、経験豊富なドライバーラインアップを獲得することができる。これが、チームがグリッドのさらに上位へと前進する助けになるものと確信している」

「それこそが我々の目標であり、この野心が、ニコのF1復帰を推し進めることとなった。彼は我々のビジョンを共有している。今年、ポイント争いできる状態に戻って築いた基盤をさらに固めるために、チーム全員とともに重要な役割を果たしてくれることだろう」

2022年F1バーレーンGP ニコ・ヒュルケンベルグ(アストンマーティン)

 ヒュルケンベルグは「2023年にハースF1チームにおいてフルタイムレースシートを得ることができ、とてもうれしい。しばらくF1を離れていたような気がしない」とコメントした。

「自分が一番好きな仕事に再び就くチャンスを得たことに興奮している。僕を信頼してくれた(チームオーナーである)ジーン・ハースとギュンター・シュタイナーに感謝したい。中団で他のチームすべてと戦えるようになるために、これからやるべき仕事がある。この戦いに再び加われる日が待ち遠しい」

 ヒュルケンベルグは、最終戦アブダビGP後の22日に行われるタイヤテストで、初めて2022年型VF-22を走らせる。

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