奇跡の青い種、伐採したタビビトノキに 「30年間で初」 とちぎ花センター

コバルトブルーの色をしたタビビトノキの種

 栃木県栃木市岩舟町下津原のとちぎ花センターで、1992年の開園以来、タビビトノキが初めて種を付けた。しかも倒木の恐れがあるとして伐採した木の花が付けた種だった。同センターは「30年間で初めてのこと」としている。

 タビビトノキはマダガスカル原産で高さ約20メートル。上部に長さ約2メートルの葉が連なり、東西を示すように生育するため、旅人の役に立ったという言い伝えがある。

 同センターの温室に5本あり、うち1本が危険木として9月に伐採された。20日ほどたった後、保管していた約50センチの花から、鮮やかなコバルトブルーの色をした種が出ているのを同センター職員が見つけた。

 温室にあるタビビトノキが種を付けるのは珍しいという。高所で花を咲かせることなどから、野生の木では花の蜜を求めるサルが受粉を媒介している。

 温室担当の職員永島安紀(ながしまあき)さんは「人の力ではなく、小動物などの何かが受粉を手伝ってくれたのかもしれない。奇跡的だ」と、予期せぬ“贈り物”に感動した様子で話した。

 種の展示は年内いっぱいを予定している。

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