横仙歌舞伎 迫力演技で魅了 秋の大公演 奈義でスタート

観客を魅了した横仙歌舞伎秋の大公演

 江戸時代から岡山県奈義町に伝わる県重要無形民俗文化財「横仙(よこぜん)歌舞伎」の秋の大公演(町、町教委主催)が19日、同町豊沢の町文化センターで始まった。初日は2演目があり、迫力ある演技が約200人の観客を魅了した。

 横仙歌舞伎保存会と地元のこども歌舞伎教室が出演した。保存会の演目は源平合戦が題材の「源平咲分牡丹(げんぺいさきわけぼたん) 重忠館(しげただやかた)の段」。源頼朝の重臣畠山重忠が妻のけなげな心に打たれ、平清盛のひ孫を助ける物語で、巧みなせりふ回しなどに客席から大きな拍手が起こった。

 こども教室は、姫様の乳母が旅の途中で昔別れたわが子に偶然出会うが、母と名乗らずに別れる「恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな) 重(しげ)の井(い)子別(こわか)れの段」。小学2年~中学2年の11人が堂々と演じた。熱演を見守った女性(90)=同町=は「懸命に演じる姿に感動した。明日も来たい」と話していた。

 上演に先立ち、保存会をはじめ、東京、山形、高知を含む6団体が歌舞伎の継承活動などを紹介したオンラインサミットもあった。

 新型コロナウイルス禍前と同じ有観客で2日間開催は3年ぶり。20日は午後1時から。保存会と同町中島東地区の中島東松神座、美作市の粟井春日歌舞伎保存会が出演する。入場無料。

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