不動産投資でいくら稼げるのか−−10年でFIRE達成した投資家が語る実情

FIREを目指すための手段のひとつにあげられる不動産投資ですが、具体的にどのくらいの収入が見込めるものなのでしょうか?

そこで、国内最大規模の不動産コミュニティを運営する木村拓也 氏の著書『人生を逆転させる、サラリーマンの【不動産投資FIRE】』(ぱる出版)より、一部を抜粋・編集して不動産投資での5つの収入源を解説します。


個人事業主、主婦、誰にでもできる不動産投資

日本にいれば誰にでもできる

これまで不動産投資はサラリーマンにおすすめである、と書いてきましたがもちろんサラリーマン以外の人、例えば個人事業主の方や主婦の方なども不動産投資はできます。誰にでもできるのが不動産投資の魅力と言っても良いでしょう。

ただ誰にでもできるというのは、ただはじめるだけで簡単に儲かります、ということではありません。正しい知識やある程度の努力は必要です。それについては2章で詳しく解説しますが、ここで言いたいのは 年齢や性別、住んでいる所を理由に諦める必要が無い、 ということです。

私がコンサルを行った生徒さんだけでも、北は北海道から南は沖縄まで様々な土地に住む方がいらっしゃいます。私自身は東京に住んでいますが、北海道の物件を持っています。不動産投資は良い物件を選ぶというのが重要な要素となりますが、情報網さえ持っていれば日本全国どこの物件を買うこともできるため、田舎だから不利になるといったことはありません。

また当然ですが男女の違いもありません。シングルマザーとしてお子さんを育てるために不動産投資にチャレンジししっかりと成果を出している生徒さんもいました。

若い方が有利

ただ年齢に関しては若い方がより有利ではあります。というのもこれまでも書いてきた通り不動産投資は長期的な視点で考えるべきものです。最初はスモールスタートで微々たる収益であっても、 ローンの返済を行っているうちに金融機関からの信用が貯まり、より大きなローンが組める ようになったりもします。そうすればさらに部屋数を増やして徐々に大きな収益に…… というサクセスロードに乗ることができます。

そう考えると20代や30代で始めることができた人たちは、ゆっくり無理のないペースで始めても40代、50代になる頃には会社に頼らなくとも一生不安なく暮らせるだけの経済基盤ができているはずです。

では、すでにそれ以上の年齢である人にはできないのか、と言えばもちろんそんなことはありません。私自身不動産投資をはじめたのは40代になってからですし、50代ではじめて老後の資金にしている生徒さんもいらっしゃいます。そもそも、あなたのこれからの人生において一番若いタイミングは今この瞬間です。早くはじめた方が有利であることは間違いありませんが、そういう意味ではあなたにできる最善のタイミングは今なのです。

今すぐには難しい人も

とはいえ、中には今すぐに不動産投資をはじめるのは難しいという状態の人もいらっしゃいます。

例えば現在海外赴任をしていて、海外法人から給与を貰っているという人。この場合は日本の金融機関から融資を受けるのが難しい可能性があります。 1年後や2年後に海外赴任の予定がある人は、日本にいるうちに検討しておくのが良いでしょう。

また、現在フリーターなど収入が不安定な職にいる人も融資を受けるのが難しいことが多いです。とはいえこういった人が絶対に不動産投資をできない、というわけではありません。後ほど紹介しますが、私の生徒さんの中には不動産投資を行うために就職や転職を成功させ、融資を受けられる状態を自ら作ってから不動産投資を行い成功している人もいます。

最後に経営者や個人事業主など、正社員以外の働き方をしている人たちです。金融機関にもよるところですが、私が様々な方の不動産購入を見てきた経験上、3年以上十分な利益が出ていることを確定申告などで証明できているのであれば融資を受けられる可能性が高くなります。

不動産投資でいくら稼げるの?

5つの収入源がある

では具体的に不動産投資でいくらくらいの収入が見込めるのか、シンプルなモデルケースで説明してみたいと思います。

今回は5000万円のアパートを購入したケースで考えてみます。5000万円のアパートというのは、年収の10倍の融資を受けられるとすれば年収500万円の人ならすぐに挑戦できる範囲ですし、それより年収が低い上でもスモールスタートして金融機関からの信用をあげていけば近い将来たどり着けるラインかと思います。仮にそれより小さい金額のアパートではじめる、という場合もおおむね購入金額に対してこれくらいのバランスになると考えていただいてOKです。

ここで重要になるのが不動産収入は家賃収入だけでは無い、ということです。今回はそれ以外の様々な収入を含め、私の実例をベースにご紹介したいと思います。

(1)キャッシュフロー

これがいわゆる家賃収入です。具体的には家賃収入からローンの返済分や管理費を抜いた手取り収入で考えていきます。

5000万円のアパート、(細かな用語の意味は2章以降で説明します)新築のRC造だとした場合、実質利回りは2・5%前後になります。ローンも経費も払った上で、 年間125万円 ほど手元に残る計算です。

また不動産投資というのは基本的に、1つ目の物件が軌道にのれば同じようにして2棟目、3棟目として増やしていくものです。同様の規模のアパートを2棟、3棟と増やせば、この金額も同じように2倍、3倍になっていきます。

(2)含み益

含み益とは、本来株や金融商品で使われる言葉ですが、不動産でも同じような考え方が適用できると思い私はく使っています。

例えば、5000万円のアパートを35年ローンで購入したとします。ローンの残額は徐々に減っていって35年後にはゼロになりますが、このときアパートの価値もゼロになるわけではありません。このとき残っているアパートの価値が「含み益」です。

具体的な数字は物件や社会情勢によるので算出が難しいのですが、仮に今の市場相場で考えるなら、5000万円で購入した築35年アパートは65%~75%の価格で売却することができます。今回は間をとって3500万円としましょう。

はじめは全額ローンで購入した物件が、35年後には完全に自分のものとなり3500万円で売ることができるわけです。かなり大雑把な考え方ではありますが、3500万円を35年で割ると 年間100万円の含み益 が生まれていると考えることができます。

(3)節税効果

皆さんは会社で受け取る給与から所得税や住民税を払っていると思います。これらの税金は所得金額に応じて算出されるため、給与が多い人ほどたくさんの税金を納めていることになります。

しかしこの税金の計算時、給与以外の事業、今回で言えば不動産投資で赤字があるならそれを合算することができます。例えば会社の年収が500万円だとして、不動産投資で150万円の赤字がある場合は、年収350万円の人と同じ税額で済むわけです。

と言っても不動産投資で150万円の赤字が出ていたら本末転倒じゃないか、と思われたと思います。

ここで出てくるのが減価償却という考え方です。 厳密な数値を用いてしっかりと説明すると非常に複雑な話になるためシンプルにイメージだけをお伝えします。

物件の購入には当然費用がかかっていますが、その購入費は何年かに分けて経費として計上する、というルールがあります。

今回の例で言えば5000万円のアパートを購入しました。この5000万円には土地代も含まれているため建物代は3000万円だったとしましょう。この3000万円を10年に分けて、毎年300万円ずつ経費計上していきましょうね、というのが減価償却の考え方です。

実際のお金の動きとしては毎年150万円のプラスであっても、帳面上はここから300万円を差し引いて150万円の赤字、ということになるのです。

その結果年収500万円の人は、実際には不動産収入を合わせて650万円を受け取っているのに、税務上は350万円の所得として計算されます。

ちなみに会社員の場合は毎月の給与から税金を源泉徴収、いわゆる「天引き」されていますから、こういった合算によるマイナスがある場合は確定申告のあと、毎年4月くらいに払いすぎた税金が還付されます。今回のケースで考えるならば、毎年4月に国から15万円ほどが還付されてくるはずです。

(4)生命保険の掛け金

先程のキャッシュフローという中には、団体信用生命保険の保険料がすでに含まれています。したがってその他の保険に加入する意味は基本的にはありません。

私の場合はそれまで加入していた保険を解約することで、 年間30万円 程度の金額が浮きました。

(5)他の運用に再投資して増やす

さて、これはちょっとイレギュラーな話というか不動産投資の話では無いのですが、 「サラリーマンが人生を変えるための投資」という意味ではある種本質的な話 だと思うのであえて載せました。

サラリーマンであるということは、他にしっかりとした収入があるはずで、目先の生活にはひとまず困っていないと思います。将来の子供の教育費であったり、老後の生活といった、人生設計のために不動産投資を考えてみましょう、というのが本書の趣旨です。

そう考えた場合、不動産収入で得られた数百万を、ブランド品を買ったり高級車を買ったりするのに使うのは意味がありません。もちろん、自分のモチベーションを高めるためにたまにそういったご褒美を用意するのは良いでしょうが、基本的には使うべきときに備えておくものです。

とはいえ、銀行に貯金しておくのが正解か、というとそれも違います。日本のメガバンクの利率はほぼゼロ。それならば運用に回す方が遥かに良いでしょう。私の場合はファンド等に投資をしています。

仮に不動産投資で得られた収入を全額積み立てに回し、年利6%(複利)で20年間ほど運用すれば、利息だけで約1500万円の利益が出ます。 1年あたりの平均値で見れば75万円 です。

著者:木村 拓也
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