東洋大学で盲導犬の歩行体験イベント コロナ禍で貴重な「学びの場」に

文京区の東洋大学で、学生たちが中心となって盲導犬の体験イベントを行いました。コロナ禍でさまざまな学ぶ機会を制限されてきた学生にとって、オンラインでは経験できない貴重な機会となったようです。

11月16日に行われたイベントでは、学生たちが目隠しをした状態で実際に盲導犬と一緒に障害物を避けながら歩行を体験しました。また、街中で視覚障害のある人を安全にサポートするポイントとして、障害のある人が足を止めているタイミングで声をかけることなどを学んでいました。参加した学生は「先導してくれるありがたさ、盲導犬の存在の大きさを知ることができたのでよかった」と感想を話しました。

今回のイベントが開催された東洋大学ではキャンパスの近くにある企業などとの連携に力を入れていて、その中の一つ・コンタクトレンズ製造大手の「シード」が学生と盲導犬育成団体をつないだことで実現しました。

中心となって企画した社会福祉学科2年の飯尾陸斗さんと小野塚愛音さんは、コロナ禍で実際に自分の体を使った学習の機会を求めていたといいます。小野塚さんは「今までイベントもできず、オンラインで会話するだけといったものばかりだったので」、飯尾さんは「自分の肌で感じることができたのが一番大きかった」と話します。オンラインでは体験できない今回のイベントは授業の単位にはならないものでしたが、それでも多くの学生が詰めかけていました。飯尾さんは「参加した学生が実際に体験して熱量を感じてもらえているなと感じる。五感を大切にしてほしいイベントだと思っているので、コロナ禍でも貴重な機会をもらえてうれしい」と話しました。

さらに2人は今回のイベントを通して、若い世代が関心を持って同じ世代の人たちに発信していくことの大切さに気づいたといいます。小野塚さんは「私も今回のイベントをきっかけに盲導犬のことを知って、視覚に障害のある人の支援を考えていきたいと思った。私たちのような大学生にも広く知ってもらいたい。同じ年代の人が伝えるということが伝わる方法だと思う」と語りました。

コロナ禍で学ぶ機会を制限されてきた大学生ですが、学ぶ意欲に制限はないようです。

<視覚障害のある人への接し方は?>

都内にはおよそ4万人の視覚障害者がいるとされています(2022年3月末現在)。その中で盲導犬を希望する人には複数ある盲導犬育成団体とのマッチングが行われ、現在、都内で稼働しているアイメイト協会の盲導犬は42組となっています。視覚障害のある人との接し方についてまとめました。

皆さんにぜひ知っておいてほしいことがあります。それは「視覚障害のある人は常に助けを必要としているわけではない」という点です。様子を見守って、足を止めて困っているようなら声をかけるとよいでしょう。では、実際にどのように声をかければよいのでしょうか。一例を紹介します。

まず、交差点では信号の有無が判断できない場合があるので「信号がないので一緒に渡りましょう」と言われると助かるそうです。階段では、どちら回りか(「この階段は左回りです。踊り場に着いたら、左です」など)を伝えると助かるといいます。さらに、エレベーターでは音声ガイドがない場合、目的の階まで連れて行ってもらえると助かるということです。不安を感じている人がいた場合には「このエレベーターは上りです。○階のボタンは押してあります」などと伝えると分かりやすいでしょう。

盲導犬は道を覚えて目的地まで誘導することはできないので、立ち往生しているときは「何かお手伝いしましょうか」と声をかけるようにしてください。盲導犬、そして視覚に障害がある人への接し方のイベントなどにも積極的に参加し、ぜひ理解を深めたいものです。

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