広島・三次市 甲奴町で20日、特産のカーターピーナッツの収穫祭がありました。ここ数年、生産量が落ち込む中、不足分の補充としてアメリカからの輸入ピーナツを使った商品が登場しました。
女性たちが手にしているのは、1袋500円の焙煎ピーナツです。
福山から訪れた人
「楽しみにきょう、来ました。福山から。おいしいよね。味がやっぱり全然、違いますよね」
3年ぶりに本格的な開催となったカーターピーナッツ収穫祭には、町の内外からおよそ1500人が訪れました。
こちらも定番、ピーナツせんべいの実演販売です。
スタッフ
「年に1回しか焼かないのに、3年ぶりです」
管理団体 カーターピーナッツ研究会 近藤幸晴 会長
「3年ぶりに会う人やら、いろいろおられるんでね」
柴田和広 記者
「これまでの収穫祭と様子が違うのが、こちらです」
「アメリカから輸入したピーナツで作ったクッキーやピーナツバターが並んでいます」
スタッフ
「こちらがUSAのピーナツを使った新しいピーナツバターとクッキー」
ピーナツは、カーターピーナッツの故郷アメリカ・ジョージア州から同じ種類の豆を輸入しました。
カーターピーナッツ研究会 商品開発担当 竹本宗文さん
「ピーナツが有名な甲奴なのに、ピーナツが来ても買えないということもあるので」
― どのくらい、輸入ピーナツでまかなう?
「だいたい半分くらいになってくるかなと思うんですけど」
カーターピーナッツは、かつて甲奴町を訪れたアメリカのカーター元大統領から町に贈られたピーナツです。
この20年余り、町の特産品として栽培されていますが、農家の高齢化やイノシシなどの鳥獣害により生産量はピーク時の5分の1に減っています。
今回は試験輸入ですが、今後、年間300キロから500キロ程度、輸入する計画です。
地元の人
― アメリカからピーナツを輸入するのは抵抗感は?
「特にないです。住民なので、カーターさんが来られたときも知っているんですよ。町を挙げてのたいへんな騒ぎだったので」
生産者は、どう受け止めているのでしょうか?
ピーナツ生産者 茨木栄治さん
「全然、実がついてない。ついてないね、ことしは」
町内最大の生産者・茨木栄治さんです。鳥獣害などで苦戦していました。
茨木栄治さん
「本当じゃ。USAってちゃんと入ってますね」
「生産者としては、ちょっと何とも言えん複雑な思いがありますけど。やっぱり生産量が少なすぎるっていうのが問題ですから。わたしも来年はしっかり勉強して、勉強し直して、いちからがんばっていけんかなという思いです」
訪れた親子
「イノシシよりわたしらが食べたいもんね」
「イノシシより先に食べたい」
アメリカの大統領ゆかりのピーナツの栽培が始まって20年余り…。山間の町の特産品は、日米2つの国の農家が支える新しい時代を迎えました。
― 150枚用意した輸入ピーナツで作ったクッキー(200円)も、60本用意したピーナツバター(1200円)も完売しました。本家本元のピーナツで作ったという信頼感もあって好評でした。
甲奴町内のコンビニで販売されていて、今後、広島市内のデパートやおみやげ店などでも販売予定だということです。