アサヒビール神奈川工場 迫る操業終了、頭抱えるお膝元 ふるさと納税もピンチ

来年1月末に操業を終えるアサヒビール神奈川工場=南足柄市怒田

 来年1月末のアサヒビール神奈川工場(神奈川県南足柄市怒田)の操業終了を巡り、地域経済への影響が懸念されている。工場見学など観光面での打撃に加え、ふるさと納税の返礼品としても採用できなくなることで、市財政にも少なからずダメージがありそうだ。工場閉鎖まで残り約2カ月となったが、跡地利用などについての見通しは立っておらず、加藤修平市長は24日の会見で「市として具体策で話せることはない」と述べた。

 工場の操業終了が発表された直後の今年3月10日、同市商工会は「実際にどのような影響が出るのか想定しづらい」として、市内586事業者に向けて売り上げへの影響などを尋ねる緊急アンケートを実施した。

 全体の33.6%に当たる197事業所から回答が寄せられ、「影響がある」と答えたのは工場勤務者らが利用する地元飲食店や宿泊施設など20件余りに上った。

 2002年に操業を開始した同工場は「アサヒスーパードライ」や「クリアアサヒ」などの主力商品を首都圏に出荷してきただけでなく、食事ができるビール園を併設し、工場見学を受け入れるなどして市の観光振興にひと役買ってきた。

 ビールの製造工程を学び、試飲もできる工場見学は市内ツアーに組み込まれることも多く、21年に終了するまで延べ約240万人が訪れた。同市観光協会の吉澤賢治会長は「市の財産の一つと言える場所。正直寂しい気持ち」と話し、工場閉鎖に伴う観光ルートの強化を当面の課題に上げる。

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