井戸の故障をQRコード管理 中尾さん(佐世保出身)、ルワンダで仕組み整備

QRコードを井戸に張る中尾さん(右)=ルワンダ(JICAルワンダ事務所提供)

 国際協力機構(JICA)の海外協力隊員として、昨年8月から東アフリカのルワンダで活動する長崎県佐世保市出身の中尾祐成さん(28)が、QRコードを使って井戸の状態を管理するシステムを考案し、一役買っている。
 中尾さんは2013年、地元の県立佐世保西高から長崎大経済学部へ進学。16年の4年時、熊本地震の物資支援ボランティアに参加し、日本人に交じって活動する外国人ボランティアの姿に感銘を受けた。現在、ルワンダ東部州キレヘ郡で「水の防衛隊」として安全な水の確保に奔走する日々を送る。
 同国は、1994年に民族間抗争で国民の1割(当時)が犠牲になる大虐殺が勃発した暗い過去を持つ。その後、社会や経済を改革し、2015年には世界経済フォーラムの「ICTの活用促進に最も成功した政府」に選ばれた。国民のスマートフォン普及率も高い。
 中尾さんによると、同国の水の衛生状態は良好とはいえず、住民が利用する井戸も故障が頻発。そこで自作のQRコードを井戸に張り、不具合が起きた際には住民がスマホで読み込み、状態などを入力すると、行政機関に報告される仕組みを整えた。今年10月末時点で八つの井戸に張っているという。
 中尾さんは「設置箇所を増やし、QRコードの使い方を定着させていくことで水の衛生状態を向上させたい」と展望を話した。

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