高浜原発3、4号機40年超運転へ 関西電力が延長方針を福井県に報告

高浜原発3、4号機の40年超運転に向けて蒸気発生器の取り換え計画を野路安全環境部長(左)に説明する水田原子力事業本部長代理(中央)=11月25日、福井県庁

 関西電力は11月25日、運転開始から37年が経過している高浜原発3、4号機(ともに加圧水型軽水炉、出力87万キロワット、福井県高浜町)について、40年を超えて運転する方針を決めた。水田仁原子力事業本部長代理が同日、福井県庁で野路博之県安全環境部長と面談し、運転期間の延長認可を原子力規制委員会に申請する方針を報告。申請の前段として、細管の減肉が相次いでいる蒸気発生器(SG)を2026年の定期検査時に取り換える計画を説明し、事前了解願を提出した。

 高浜3号機は1985年1月、4号機は同年6月に運転を開始し、2025年に運転40年を迎える。原発の運転期間は原子炉等規制法で原則40年と定められ、規制委が認めれば1回に限り最長20年延長できる。40年超運転の認可申請は3号機が24年1月、4号機は同年6月に期限を迎える。

 関電は9月から、運転期間の延長申請の条件となっている「特別点検」を行っていた。原子炉容器などの劣化を詳細に調べた結果、異常は認められなかったと県に報告した。

 SGを巡っては、運転期間の長い高浜3、4号機特有の現象として、運転時にできる鉄酸化物の密度が高まった「スケール」による細管の減肉が相次いで確認されたことなどから、安全性を高める観点で交換を決めた。交換には、原子力安全協定に基づく県の事前了解が必要となり、規制委に対する原子炉設置変更許可の申請そのものの是非と具体的な交換方法の2段階ある。県が最終的な事前了解を出せば工事に着手できる。

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 県原子力安全対策課によると、SGを交換した高浜2号機のケースでは、1991年5月に事前了解願が提出され、2カ月後に国への申請を了承した。最終的な事前了解を出したのは1年3カ月後の92年8月だった。

 関電は、県からSGに関する申請の了承を得られれば、運転期間の延長認可も申請する方針。

 この日の面談で野路部長は「これまでの例に従い、まずは国への申請を行うことに対する了承について検討を進めていく」と述べ、水田本部長代理は「さまざまな機会を通じて丁寧に説明していく」と応えた。

 杉本達治知事は昨年4月、関電美浜原発3号機と高浜1、2号機の40年超運転に同意した。美浜3号機は現在、国内で唯一40年を超えて運転している。テロ対策の「特定重大事故等対処施設」を整備中の高浜1、2号機は来年6、7月の再稼働を計画している。

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