国産初の新型コロナウイルス軽症者向け飲み薬「ゾコーバ」が11月29日までに、福井県内の薬局25カ所に届き、医師の判断や患者の状態などに応じて処方できる体制が整った。
塩野義製薬のゾコーバは、12歳以上を対象に1日目は3錠、2日目以降は1錠を計5日間飲む。重症化リスクの有無にかかわらず使用できるが、発症から3日目までに投与する必要がある。高血圧や高脂血症の薬など併用できない薬が36種類あり、妊婦や妊娠している可能性がある女性は使えない。
県内薬局では、従来の新型コロナの飲み薬の処方実績がある60カ所で取り扱われる予定。医療機関は12月上旬ごろまで在庫を持たず、処方する患者がいる場合に供給を受けるという。
福井県薬剤師会が運営する「水仙薬局」(永平寺町)には11月28日午前に到着した。平賀貴志専務理事は「若年層や基礎疾患のない人にも使える。第8波が急拡大した場合、病床のひっ迫を抑えるのに役立つ可能性がある」と話す。県薬剤師会は30日夜、塩野義製薬の担当者を招いたオンライン説明会を開き、ゾコーバへの理解を深める。
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県の担当者は「三つ目の経口薬として治療の選択肢は増えた」とした上で「従来の解熱剤やせき止めで十分という医師の判断もあり得る。診察の結果や患者の状況が重要」と強調した。
ゾコーバの最終段階の臨床試験(治験)では、オミクロン株に特徴的な五つの症状が消えるまでの期間が偽薬のグループの約8日に比べ、ゾコーバを服用したグループは約7日となり1日、短縮された。