国会「定時で閉店ガラガラ」 しぼむ会期延長論、政府与党「追及こりごり」

 臨時国会の会期末(12月10日)まで1週間余りとなった1日、永田町に今国会を延長せずに閉じる日程構想が出回った。政府与党は会期末までには重要課題をカバーできないとして延長を検討していたが、秋葉賢也復興相の公職選挙違反疑惑に加え杉田水脈総務政務官がアイヌ民族へのやゆをブログに記していた問題などが新たに発覚。自民党幹部は「国会が延びても野党に追及の機会を与えるだけ」として「定時で『閉店ガラガラ』とすべきだ」とコメディアンの決まり文句を引き延長の可能性がしぼんだことを明かした。

 「菅(義偉)前総理の英断に学んでほしい」。この日の参院予算委員会では、日本維新の会の高木かおり氏が菅内閣が決めた不妊治療への保険適用を引き、出産への保険適用の検討を岸田文雄首相に求めた。

 前段では、菅内閣で官房長官を務めた加藤勝信厚生労働相に4月から始まった不妊治療保険適用の成果を確認。労働相は「治療が標準化し国民が安心して受けられるようになった」などと評価したが、岸田首相は「医療体制などに地域差があり、一律対応は難しい。出産育児一時金の増額で対応する」などとゼロ回答の内容で答弁した。

 出産への保険適用を公約として要請を続ける維新に対し、首相もこれまでは「検討したい」などと応じていただけに、首相に近い議員は「ライバル視している前総理が引用されたことにカチンと来たらしい」と説明。「次々と悪い材料が発覚し新しい事を考える余裕がなくなっている」と明かした。

 11月30日には、自民の薗浦健太郎副幹事長の事務所が政治資金収支報告書にパーティー収入を過少記載した疑いで東京地検特捜部が捜査していることが判明。閣僚3人が辞任し、秋葉復興相と杉田政務官への追及が続く中での新たな火種に「追及はもうこりごり」とのムードが政府与党にまん延している。

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