笑いと涙…瀬戸内寂聴さん悼む 秘書の瀬尾さん講演 長崎でイベント

寂聴さんとの10年間を振り返る瀬尾さん=長崎市茂里町、長崎ブリックホール国際会議場

 昨年11月に99歳で死去した作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんの追悼イベントが3日、長崎市内であった。2015年に同市で開かれた本県出身の歌手、美輪明宏さんとのトークショーの上映会と、66歳離れた秘書・瀬尾まなほさんの講演会の2本立てで、来場者の笑いと涙を誘った。
 イベントは長崎新聞社主催。社会福祉法人龍美会が特別協賛。
 上映会は、同社が県美術館で開いた「戦後70年、被爆70年-瀬戸内寂聴展」の関連イベントのダイジェスト版。寂聴さんと美輪さんは戦争と平和、宗教、結婚、病気や老いなどさまざまな話題について歯に衣(きぬ)を着せぬ語りで、再び会場を沸かせた。
 瀬尾さんは「寂聴先生との10年間」と題して講演。京都の「寂庵」を拠点に多忙な生活を送る寂聴さんから「大丈夫」「できる」「チャンスの波に乗れる」と背中を押してもらい、自己肯定感が高まり、秘書としても人としても成長できたことなどを振り返った。
 イベント後、長崎市かき道5丁目の松尾整子さん(71)は「寂聴さんは現代社会の底にある理不尽さや悲しみなどをクローズアップしながら、多くの人に『しっかり生きろ』というメッセージを伝えてくれた」と話した。


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